年下の俺様ホストに美味しくいただかれちゃった件
徹夜明けの早朝、ホストの京也にナンパされた美咲。俺様王子様の京也のペースに、美咲はどんどん引き込まれてしまい、気が付いたらキングサイズのベッドに出迎えられ…。育て?趣味?それとも本カノ?そんな言葉すらまだない2人の甘ったるい時間をどうぞ。
納品を終えて空を見たら、もう空が白んで朝日が昇る時間だった。
有給届を送信して、オフィスを後にする。
流石に今からシャワーを浴びて、着替えてまた出勤する気にはなれない。
「ご飯…どうしようかなぁ」
そもそもこの時間に空いてるのは…コンビニかファミレス位だろう。
納期明けのお祝いに頑張った自分へのご褒美がコンビニはちょっと寂しい。
今日は1日休みだし、贅沢に過ごしたい。
思い切ってホテルに泊まって、モーニングに足を運ぶことにしよう。
ダメならランチ。
ディナーだって良い。
素敵なお部屋でお風呂に入って、ゆっくり寝て美味しいご飯を食べて。
(今日は、自分を沢山甘やかす日にするんだ。)
新宿へ向かう足取りはいつもより軽かった。
*****
早朝の新宿は、カラスの声が良く響く。
改札を出て足早にタクシープールに向かうと、ちょうど最後の1台が出たところだった。
「おねぇさんも、タクシー乗るの?」
振り返ると、スーツを着ている男の子が立っていた。
「そうだけど…?」
「俺、今から帰るんだよね。どこ行くの?」
質の良いスーツには不似合いな屈託のない笑顔。
整った顔立ちの男の子に話しかけられたのが嬉しくて思わず答えてしまった。
「Hホテル」
「Hホテル?近いじゃん。旅行でこっちに来たの?」
そう、駅から徒歩15分は掛からないけど徹夜明けには辛いのよ。
「違う。徹夜で仕事だったから有給とって…」
「えっ徹夜したの?それはお疲れ様だね~」
「ありがと!今にも寝ちゃいそうよ(笑)」
「それはまずいって。俺送っていくよ」
えっと顔を見あげる。
綺麗な瞳がまっすぐ私を見ていた。
「タクシーで寝ちゃったら、困るだろ?」
「でも…知らない人に迷惑かけられないし…」
「京也っていうんだ。ホストやってる。ほら、これで知らない人じゃないでしょ」
京也はにこっと笑った。
キラッと効果音が出そうなくらい素敵な笑顔。
(きっと名刺の背景には薔薇が咲いてるんだろうな。)
ホストの名刺なんて見たことないけど。
「そういう意味じゃ…」
慌てて手を振ったら、タクシーが目の前にとまった。
「ほら、先にどうぞ」
(何やってんだ…私…?)
そう思う暇もないくらいスマートに。
私はタクシーに乗り込み、彼は隣に座った。
「Hホテルへ」
そう言いながら、彼は優しく私の肩を抱く。
「眠かったら寝ていいからね?」
彼の低い声が、何故か心地よく響いた。
推しにキャラ似てて好き。(笑)
じゅり さん 2021年9月4日