プラトニックラブなんていらない (Page 5)
こんなはずじゃなかったのに…。
ホテルに入った瞬間、懐かしいキスと体温に抱かれてあんなに嬉しかったのに。
なぜ今、互いの傷をえぐるようなセックスをしているんだろう…。
私は枕に顔を埋めると、直樹に気づかれないように泣いた。
「美優…っ…ああっ…美優…」
直樹が私の名前を呼ぶたびに、胸の奥がひどく痛む。
それなのに、私の蜜壺は直樹に突かれるたび、嬉しそうにヒクヒクと痙攣した。
「ああっやだっ…こんなの…あああっっっあああんっ」
心とは裏腹に、淫靡な嬌声が上がる。
快楽に支配された私の体に、確実に絶頂が近づいていた。
「はぁああっっ…やだぁっっ…んあああッッ!!」
「今、ナカ締まったぞ。やだやだって言ってるけど、お前も気持ちいいんだろ?」
「ああっ…ぅ…っ」
「なぁ、言えよ。気持ちいいって」
ピストンに合わせて、はしたなく腰が揺れる。
直樹と出会った頃の清純な自分はもうどこにもいなかった。
「あああぁ…おくぅ…奥きもちいいっっ…」
「ははっ…淫乱」
ナカで直樹の男根が、ビュクンっと跳ねるように私を突き上げた。
「ぁんッッ!イっちゃうぅっあああ直樹ぃっっ」
えぐるようなピストンがいっそう速くなる。
「あああああっイクっ…イクぅぅぅッ」
「俺も出すぞっ…ナカに…美優…ぁあっっっ」
「ちょうだい直樹っ…ぁああああッッ!!」
直樹の熱を最奥に感じながら私は絶頂した。
*****
あれから何分経っただろうか。
絶頂の後、直樹は私の背中に覆い被さったまま動かない。
私もシーツに顔を突っ伏したまま、黙って直樹の吐息を聞いていた。
「美優、ごめん…」
ようやく、直樹が口を開いた。
「感じてる美優を見てたら、なんか感情がグチャグチャになっちゃって。嫉妬とか、後悔とか、未練とか…」
その声は弱々しく、語尾は少し震えていた。
「…俺、ホントに美優のことが大事だったんだよ。あの頃、何度も美優を押し倒そうと思った。でも、初体験って痛いとか血が出るって言うだろ?お前にそんな思いをさせるのかって考えたら、なんか俺ビビっちゃって…」
そんな葛藤があったなんて…。
未成熟でもどかしいとばかり思っていた直樹との恋。
振り返れば、大切にされた思い出しかない。
それを一度のセックスで、帳消しになんてしたくなかった。
「直樹…っ」
私は体を起こすと、直樹を力いっぱい抱きしめた。
「み…美優?」
「もう一度、私を抱いて」
「…俺、あんなひどい抱き方したんだよ。怒ってないの?」
「怒れないよ…だって、私はずっと直樹に抱かれたかったんだもん」
「…美優っ」
「それに…私、今も直樹のこと…っんんッ」
直樹は私を押し倒すと、深くて甘いキスをした。
ゆっくりと舌が絡み合う。
あの頃より成熟した、優しい大人のキスだった。
「待って、俺に言わせて」
直樹は唇を離すと、真っ直ぐに私を見つめた。
「今もお前のことが好きだ。やり直してほしい」
10年越しの告白に、私はコクリと頷いた。
「今度はプラトニックラブじゃなくて、大人の恋だね」
「もちろんだ」
直樹は冗談っぽく笑うと、私の腰を優しく掴んだ。
「ぁああっ」
愛液で潤んだままの入り口に、硬直したペニスが押し当てられる。
ジュプ…と先端が割れ目をに沈む官能的な水音がした。
「んはぁっ…ああッッ」
「それに、もうプラトニックラブには戻れないだろ?お前も俺も…」
ずぷんっ…!と鋭い快感とともに、直樹が私を貫いた。
「ぁああああッッーー!」
「美優…愛してるっ」
「私も…っああっあああんッッ!」
直樹が私を優しく突き上げる。
プラトニックラブなんてもういらない。
私は直樹の熱を最奥に感じながら、本能のままに体を震わせた。
Fin.
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