いぢわる☆パレード (Page 8)
「ン…あっ…ハッ…アッ…い…ぃい…あぁ、アッ…ああぁぁー!」
意識を手離してしまいそうな私の頭を、まだ荒い息の真ちゃんの掌が包む。そのまま、左手は私の後頭部、右手は背中を支えながら抱きおこしてくれる。まだ余韻で頭がうまく働かない私の着衣を丁寧に整えてくれ、自分の着衣も整える。ふーっ、と真ちゃんの深い息。コツン、と私の額に真ちゃんが額を当てる。
「…ごめん。我慢…できなくて」
「…ううん、私も…。自分でも驚いてる…」
私も、はぁーっ、と深く息をし、呼吸を整える。私の髪を撫でる真ちゃんの手。宝物になった気分で満たされる。
「冷静になると、遠くに車が走ってる音とか、カバン、こんなところに転がして、とか…」
オブジェの足元に転がる真ちゃんのボディバッグ。私の財布やスマホも入れてもらっている。
「…あっぶねぇ…理性飛びました…。気をつけます」
「…私も…。気持ち…よすぎて…」
「…やば…嬉しい」
「真ちゃんだからだよ?」
「俺も」
真ちゃんを抱きしめよう、とした瞬間。
「わっ!」
真ちゃんも私も驚いて声をあげる。背の高いオブジェの向こうに、可愛いお爺ちゃんが立っている。
「…あのね、若い人たち、ね。十五分くらい歩くけどね、広ーい池もある公園が大通りまで出て左にまっ、すぐ行くとね、あるから、ね」
警備員さんだ!最中を目撃されたわけではないと信じたいけれど。私の顔は真っ赤になってしまう。
「今日ね、ここ全館休館なのね、ね」
「あっ、はい。ありがとうございます!」
真ちゃんが跳ねるように立ち上がる。私もそれに続きペコリと慌ててお辞儀する。そそくさと去ろうとする私たちに。
「気をつけてねー」
とお爺ちゃん。数歩歩いて、振り向きながら手を振って。3回振り返っても私たちを見守ってくれている。
「…優しい…お爺ちゃんだね」
「お世話になります、だ」
真ちゃんも、耳まで赤い。真ちゃんの手の甲が私の手の甲にコツン、と触れる。真ちゃんがいつもそうしてくれる通りに、私の指の間に自分の指を絡めてギュッと繋いでくれた。
Fin.
ちょっとダラダラ
ちょっとダラダラした話でした。
単に長いからでなく、なんとなく歯切れが悪く情景がわかりづらいイメージです
さわら さん 2021年1月5日