いぢわる☆パレード (Page 3)
水族館の中庭は、吹き抜け状になっていて円形の天窓から光が降りている。温室がモチーフなのか熱帯の木々が高く伸びている。茶色いベンチに真ちゃんは私を腰掛けさせる。次の別のショーを目当てに、人の流れが足早に通り過ぎていく。真ちゃんは私を抱擁する。
「…真ちゃん…こんなところで…」
「誰も見てないよ」
それから、右腕は私の背中を抱き、左手はカーディガンの中に侵入してくる。筆以外は両利きの、器用な真ちゃんの左手が、濡れたブラウスの二番目と三番目のボタンを外す。太い指が侵入して、私の左の乳首は人差し指と親指にコリコリと摘まれてしまう。人々が会話する声が耳に届く。でも…気持ちいい…。
「…舐めたい…」
空耳と間違うような小さな声。
「…ここでは、ダメです…」
「…わかってます。でも…」
体勢を変えて、カーディガンのボタンだけ閉じ、私の前を隠しながら真ちゃんが囁く。
「舐めてほしい?」
「…ん…はい…」
元々、前職の先輩と後輩という関係だったからだろうか。会ってから二年経つけれど私たちの間には敬語の会話が時々挟まれる。それも私には心地いい。
「場所…変えよっか」
真ちゃんのまだ吐息まじりの声。
「…だからウィークリーマンションに行こうって…」
「昼間から?聡子さん、イヤラしいですねぇ…」
「そうじゃなくて。元々は、これからの真ちゃんの生活圏を廻ろうって話だったでしょ…」
「うん。でも昼間から屋外であまり会えたことないでしょ、俺たち」
言われてみればここ半年は、休みの曜日がすれ違い、夜を共有する日々だった。
「新鮮だね」
「ん」
ベンチから立ち上がった真ちゃんは、私に手を差し伸べる。続く私の掌に、真ちゃんの指がグッと組まれる。緩めたり…強く握ったり…。ベッドでの力強く優しい真ちゃんの腰の動きみたい…。思い出してしまう私も、どうかしている。小さな人波に紛れながら、真正面を見ながら真ちゃんは淡々と発する。
「欲しいですか?」
「…??」
「俺はね、濡れているところ全部…舐めたいですよ」
頬と、さっき指先が触れた場所が熱くなる。そして、もう溶けてしまいそうなところも。
ちょっとダラダラ
ちょっとダラダラした話でした。
単に長いからでなく、なんとなく歯切れが悪く情景がわかりづらいイメージです
さわら さん 2021年1月5日