いぢわる☆パレード
同棲して一年も経たない、真(しん)ちゃんと、私。真ちゃんの、三週間の出張が決まってしまった。寂しいのは少しの間だけ。お見送り初日の出張先の街で…。「ねぇ、聡子の卑猥な姿、撮っておきたいんだけど。ここでも、あそこでも…」真ちゃんのおねだりならと、心も身体も開いていく…。
「やっぱり…無理…。電車、降りよう?」
なんとか呼吸を整えようと、私は真ちゃんから身を離そうとする。
「何が、無理?」
にっこりと、揺れる電車の結合部分付近のドアにもたれながら。真ちゃんは余裕の笑みを浮かべる。この笑顔が私の「無理」を「いいよ…しても」にしてきた。
でも倫理的にやっぱり無理だ。カシャッ。私のスカートの下で、真ちゃんのスマホのカメラのシャッター音が鳴る。平日昼間。東京から離れた都市部の環状線内。青空が見え、座席にも人がまばらだ。とはいえ、無人ではない。そんな電車内で真ちゃんと向き合い、密着して腰を抱かれながら…。私は、大好きな彼に盗撮されている。そう、盗撮。いけないこと。
「よく撮れてる。後で見せるね」
スマホ画面を確認しながら真ちゃんは満足そうに笑う。私は見せなくていいよ、と首を横に振る。それでも、意地悪な彼は羞恥で俯く私のスカートの中に、サッと手を差し入れて、私の下着を引っ張り、淫部を食い込ませてしまう。
「えっ…い…やっ…」
「あはは、ごめん。嫌なことしない、って約束だったよねー。…やめるね?」
綺麗な目で覗き込まれる。そして私の耳に口を寄せ囁く。
「…聡子のいやらしい声が、車内に響いちゃうと…」
ふっ、と笑い声と共に真ちゃんの息が耳に吹き込まれる。
「恥ずかしいもんね?」
ガタン…ゴトン…。対向車とすれ違い、振動が強く身体に伝わる。
「スースーしちゃうかな?」
「…ね、元に戻していい?」
「ダメ。そのまま」
真ちゃんは心底楽しそうに窓の外を眺める。これから三週間、私と離れて、真ちゃんが出張で住む都市。知っている人とすれ違うことのない路線。一緒に暮らし始めてまだ一年経たないのに。正直、すごーくさみしい。現地の下見がてら、出張先へ前乗りするという真ちゃんに、二泊三日でくっついてきた。
「…真ちゃんが住むウィークリーマンションってどの駅にあるの?」
「えー、それは最後。聡子、この街に来るの初めてだよね?案内する。俺、短い出張では何度か来てるから」
「…その間、ずっとこのままなの?」
恐る恐るの私の質問に、にっこりと笑ってから耳元で。
「下着?そうだよ。俺の仮宅に着く前に脱ぐことになっちゃうかもね…濡れちゃって」
息をたっぷり含んだ真ちゃんの囁き。
「早く脱がせてほしい?でも我慢してね。たくさん、二人で楽しみたいから、この街で…おいで」
真ちゃんが私の手を握る。声音とは裏腹なその熱さ…淫らで甘い予感がする。ううん、私は会えない数日間を少しでも埋めるためだけに来たんだから。打ち消そうとしても、私の脚の間の熱は、真ちゃんの手よりも熱くて…濡れているのだけれど。
*****
「この時期のランチタイムのテラス席って、気持ちいいね」
先日までの厳しい夏の暑さは嘘のように、秋風が涼しく、陽射しも和らいでいる。レストランのお手洗いで下着をこっそり整え直した私は涼しい顔で、アスパラとベーコンのパスタを食べている。真ちゃんはイカ墨のパスタと、アンチョビのピッツァを完食済みで、サングリアを飲んでいる。
「俺が忙しかったからね。外食なかなかできなくて、ごめんね」
「ううん。おウチご飯好きだよ。真ちゃん疲れていても作ってくれるし、ありがと」
「こちらこそ。聡子の和食好きだよ。俺、洋か中華しか強くないから。…ねぇ」
「ん?」
「…どうだった?」
「えっ?」
驚く私の膝に、真ちゃんの膝があたる。そして足でそうっ、と、でも強引に私の膝を割ってくる。
ちょっとダラダラ
ちょっとダラダラした話でした。
単に長いからでなく、なんとなく歯切れが悪く情景がわかりづらいイメージです
さわら さん 2021年1月5日