口約束から10年後の再会、そして…?
高校時代、友達以上恋人未満だった春樹とみく。30歳まで独身だったら結婚してやるよ、という春樹の軽口が忘れられないみくは、10年ぶりの同窓会で春樹と再会する。お互い独身同士。そもそも春樹はあのときのこと、覚えてる…?
『お前らってホント仲いいよなぁ、付き合わないの?』
「バーカ、そんなんじゃねーよ」
「そ、そうだよ!私だってやだよ、こんなヤツ!」
『さっさと付き合えよー!』
「うるせーなぁ。でもまぁ…30になっても独り身だったら、もらってやってもいいけど?」
「はぁ!?お断りしますー」
*****
ピピピピ、ピピピピ、ピピピピ…ピッ!
うるさい目覚まし時計を止めた。時刻は7時。
今日は高校の同窓会。
それなのに私は休日出勤。仕事も億劫、その上同窓会なんて、もっと億劫だ。
でも高校からの親友であるマミに、絶対に参加するように!と念を押されている。
断ると面倒なことになるので、億劫でも参加する方がまだマシ、かな。
…今日見た夢、あれは高3の時の一コマだった。
なんとなく仲のよかったアイツ…春樹とは、友達以上の仲だったと思う。けど、恋愛に発展はしなかった。
あの関係を壊すのも怖かったし、それでいいと思ってた。
でも卒業と同時に、自然と距離は離れ、連絡も取らずにそれっきり。
…あれから10年。
春樹はあの時の口約束を覚えているのだろうか。
*****
少し遅れて、同窓会会場に到着した。場はもうすでに盛り上がり始めていた。
「あ、みくが来たー!こっちこっち!」
親友のマミが私を呼ぶので、隣の席に腰を下ろした。…もうみんな、ほろ酔いなのかな?
「ホラ春樹!みく来たよ」
え!?
「おぅ、久しぶり。元気?」
…うわ、テンプレ通りの挨拶だな。
「まぁ、それなりに」
今朝夢を見たせいかな、なんだかぎこちなく感じてしまう。
『おーい!春樹とみくが揃ったぞー!』
相変わらず外野が騒ぎ立てる。10年経っても変わらないのかと呆れてしまう。
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