おれと一線を越えてよ (Page 3)

「梓がいけないんだよ」

構わず、両脇から手首を突っ込み、服の下に指を進める。ブラを上へ押し上げ、直に梓の胸を触る。

衣服に擦れたからか、もう乳首が立っている。脇の下を４本の指でくすぐるように撫でながら、親指でつんつんと乳首をつつく。

くすぐったいのか、ずっと閉ざされていた梓の口が、笑い声を漏らすためにかすかに開く。それを見逃さず、おれは小さく開いた梓の口に自分の舌を押し込んだ。

舌を伸ばして、梓の舌を絡めとる。動かすたびに唾液が溢れ、くちくちと淫猥な音が頭で響く。

手を移動させ、梓のブラウスをたくし上げる。

舌を絡ませたまま、梓の胸を両手で包んだ。

すぐ乳首は触らず、遠いところから指を掠らせるように撫でていく。

その間も、舌で余すことなく梓の口の中を愛撫する。

梓にキスをしても、してもしても、したりない。

ずっとしたりない。

息継ぎの合間に、どろどろとした本性が漏れる。

「おれだけを見て。あず」

唇を離すと、口から溢れた唾液がこぼれた。ぽたりと垂れて、梓の胸の上に落ちる。乳房の膨らみに沿って、唾液はてらてらと光りながら流れ落ちた。

それを舌で掬って、舐めとる。

ちゅっ、ちゅっと音を立てながら乳房を吸い、ぷくりと膨れる胸の先端を咥える。

硬く尖ったそれを、アメ玉でも転がすようにねちこく舐る。

咥えていない、空いている方の胸も手でずっと弄る。寄せて上げて、柔らかさの中に手のひらを沈めたりして。

最後に強く吸い上げて、口を離した。ちゅぱっと音がして、ぷるんと揺れる。

梓の胸をひと撫でする。よだれでベタベタで、噛み跡だらけだ。

服を脱ぐと、欲望が剥き出しになった。

自分勝手に膨らんで、今すぐ入れてぶちまけること以外考えていないような。

梓の、きっと汗で湿って手に吸い付くような太ももに手をかけ、脚を開かせる。

ＴＥＭＧＡに差し込むように、梓を組み敷き、自身のものを挿入する。

梓の腰を掴み、孕ませるほど奥まで突く。何度も粘膜を擦って。おれのものだと跡をつけるように。

ＡＶのような甲高い喘ぎ声が、頭で再生される。

あずの顔が見たい。見えない。

梓……あずさ、あず……。

「…あず……！」

「優ちゃん？」

「……あず？」

急に名前を呼ばれはっと我に返ると、梓は押し倒されて、おれに手首を押さえられたまま、困惑した表情を浮かべていた。

「優ちゃん、大丈夫？」

おれの体の下で心配そうに、梓がおれに声をかける。

自分は男に押し倒されているというのに、梓は呑気におれの心配をしている。

つくづく自分は男として意識されてないのだと思い知らされる。それもこれも梓を異性として扱ってこなかった自分のせいなのだが。

妄想のように、おれのだろ、なんて言えたらいいのだけど、ダッセェことにそんな勇気はない。けれど、誰にも取られたくない気持ちだけはある。

掴んでいた手首を離して、肘を折って、身を屈めた。

「嫌だったら、突き飛ばして」

そう言って、梓の唇に浅く唇を重ねた。

もしこの口付けが拒否されなかったら、そのときは梓に好きだと伝えよう。

Fin.