みて、みないで (Page 5)
『あぁ……あはは、もうセックスしてるみたい。亜里沙かわいい。オレも勃ってきちゃったなぁ』
耳元で囁かれる声に、快楽の波が押し寄せる。
しかし、絶頂までには達せない。炙られるような快感に身を焦がすばかりだ。
『亜里沙が自分で触ってるところ、きっとかわいいんだろうね。見たいなぁ。ねぇ、今なにしてるの?教えて?』
「あっ……あぁ……ッ、いまぁ…指でっ、ぁあ……んっ、ナカ弄って……ます……ッ」
『んー、んふふ。イケそう?』
「…ぁん……だめ………なん…か、足りない…」
『オレも亜里沙に入れたいよ。感じてる顔かわいいね』
入れてほしい。今すぐ裕翔のをわたしの中に入れてほしいし、あわよくば、自身の指で蜜部を弄って、腰を反らせ感じているはしたない姿を見てほしい。
なんて欲望が、……いや、まて。セリフの違和感に首を捻る。
『あっ、不思議そうな顔ですねぇ?んふふ、実はねぇ電話、ビデオ通話になってるよ』
飛び起き、片手に握るスマホを確認する。
画面には、頬をほんのり染めて、にこにこ微笑む裕翔の顔があった。
「えっ、あっ、うそっ、どっ…?!」
どこから、どこから見られていた!?
『やっぱり正面から見るとよりかわいいねぇ。オレずっとドキドキしてた』
いや、言えよ!!
やるせなさ、羞恥、焦燥、さまざまな感情が襲ってくる。
『もぅいっこ!重大なニュースがあります!ここ、どーこだ!』
そう言って、ビデオ通話のカメラが動く。カメラはアパートの1室の扉を映していた。
部屋番号は、103。表札はない。扉はへこんでいる。
まさか……。
『帰れたから電話したの。家に着いたよ』
靴底がアスファルトを叩く音。鍵が回る音がする。
『今日はいっぱい埋め合わせするね』
扉がゆっくりと開く。
わたしは自分の格好を鑑みて、戦慄するほかなかった。
あられもなく開かれた脚、べとべとの秘部に指。腰に巻かれた帯を残して左右にはだけた浴衣。
血の気が引いていくのがわかる。
まって!!見ないで!!!
Fin.
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