みて、みないで (Page 2)

まさに青菜に塩の状態で、わたしは彼のアパートを訪れた。表札のない103号室、へこんでいる扉を鍵で開ける。

わたしが彼の赴任先の住居を訪れるときは、大抵、彼と出入りの時間が合わないので、いつ来ても部屋に入れるように合鍵を預かっている。

今日もその鍵が大いに役立った。

ばかたれ、と呟きながら部屋の電気をつける。室内は朝に荷物を置きに寄ったときのまま、よく散らかっている。

床に落ちている衣類を拾い、乱雑にカゴの中へ放り込む。

買ってあげた姿見も衣装かけ扱いだ。

姿見にかけられたTシャツやズボンを退かす。覆う物がなくなった鏡には、黒地に赤の曼珠沙華が描かれた浴衣を着ているわたしが写っている。

1人だけ浮かれているようで、バカみたい。

わたしは化粧も落とさず、浴衣も脱がず、姿見にかけられたTシャツをぶん投げて、裕翔のベッドにダイブした。

浴衣が乱れるのも構わないで、全力で枕を殴り、憂さを晴らす。

本来なら、夜景と花火でロマンティックな雰囲気になって、なぁいいじゃんって夜の街に消える手筈だったのだ。

下着も気合を入れて、色っぽいものを買ったのだ。

久しぶりに会うから、可愛くなったねっていっぱい褒めてもらうはずだったのだ。

それが、なんで……。わたしは殴っていた裕翔の枕に顔を埋めた。

枕に罵詈雑言を浴びせる。

叫ぶ合間に深呼吸をすると、胸いっぱいに裕翔の匂いが広がった。久しぶりの彼の匂いだった。

もぞ、と太ももを擦り合わせる。

 

…よろしくない考えが頭の中をよぎった。

不健全な思考を追い出そうと手足をバタつかせる。バタバタと動くたびに、裕翔の香りに包まれる。

秘部がきゅんと欲望を訴えた。

 

まてまてまて。よろしくないよ。ここは人の家のベッドだよ。さすがにそれはまずいんじゃない?

という理性の訴えも虚しく、わたしの手は拾った裕翔のTシャツを鼻に押しつけていた。

柔軟剤と彼の体臭、ほのかに香る汗の匂い。

誰もいないし、少しくらいバレないんじゃない?それが本能の訴えだった。

理性は頑張っていた。しかし、彼のTシャツをスゥハァと嗅いでいるうちに勝負は決してしまった。

これくらい許されるんじゃない?

空いている方の手が、ゆっくりと身体を這う。

ぷちんとブラのホックを外し上にずらすと、もうわたしの胸を隠すものは何もない。

仰向けに寝転がり膝を立て、少し脚を広げる。浴衣はあっという間にはだけ、太ももがあらわになった。

はだけた浴衣の間から、チラチラと総レースのショーツが覗く。

…今ちょっと、えっちな格好かもしれない。

俯瞰的な意見が、より興奮を高める。

そう思えば、もう手は止まらなかった。

撫でるだけで乳首は敏感に刺激を感じ取り、ピンと硬くなってくる。

指先でくりくりといじっていると、秘部は触ってほしそうに疼き始めた。

そっと秘部に手を伸ばす。

「………ぁ……は…ぁ……」

下着の上から割れ目をなぞると、ため息のような嬌声が漏れる。

1番気持ちいいところを探るように、指で割れ目を上下する。

ぞわぞわと鈍い快感が下半身に走る。

ちょっと焦らすように、わざとクリトリスは避けて、蜜部全体を撫でる。

爪の先がクリを擦ったとき、ピリッとした快感と同時に、ジュンと下着に漏れ出るものを感じた。

これ以上下着を汚すのも嫌だったので、わたしは下着を脱いでしまうことにした。

下着に手をかけ、太ももの下まで下げたところで、その手を止めるものがあった。

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