初彼氏、初エッチ
雨が傘に当たり跳ね返る。 傘の中に響く雨音が心地よいが、肩は冷たく濡れている。 美恵は寒さに震えながら、傘を持ってくれている男に苦笑を投げかけた。 「不運だったねぇ。まさか雨降るなんて…」 「本当…美恵ちゃんが折りたたみ […]
雨が傘に当たり跳ね返る。
傘の中に響く雨音が心地よいが、肩は冷たく濡れている。
美恵は寒さに震えながら、傘を持ってくれている男に苦笑を投げかけた。
「不運だったねぇ。まさか雨降るなんて…」
「本当…美恵ちゃんが折りたたみ持ってなかったら危なかったよ」
そう言って笑う男、光太郎は太陽を隠した雲を見上げた。
天気予報では晴れだったのにも関わらず、空は無惨にも雨を降らす。
肩の冷たさに体を震わせると光太郎は心配そうにこちらを見た。
「大丈夫?」
「大丈夫。でも、ちょっと寒いかな…」
「どこか入ろっか。カフェは…満席だよね…」
近くのカフェに目を向けるも、ちょうど美恵達と同じく雨宿りしようと入った客が一分とたたず出てくるのが見えた。
光太郎は諦めたように苦笑すると視線を巡らせた。
ふと、彼の視線が釘付けになる。
何事かと視線を追えば、
「あっ…」
思わず感嘆した。
白い外装に料金が書いてある看板。
建物の上にはネオン輝く『Hotel』の文字。
美恵は慌てて目を逸らすと、同じく逸らしていた光太郎と目が合った。
鼓動が期待するように高鳴った。
二人の間に沈黙が流れる。
雨音だけが妙に響き、先に口を開いたのは美恵だった。
「…ホテル、入る…?」
*****
室内は想像していたよりもピンク色ではなかった。
もっと艶かしく、もっと劣情高まる内部構造になっているかと思ったが、案外普通のホテルと変わりはない。
テレビをつけてたまたまやっていたバライティ番組を見る。
しかし内容は頭に入って来なかった。
入浴を済ませ、バスローブに身を包んだ二人に会話はない。
お互い緊張しているのがありありとわかる。
美恵は高鳴る胸を押さえながら、そっと光太郎の手に触れた。
ビクッ、と大きく肩を揺らす彼だったが、おずおずと手を握り返す。
再び沈黙が流れ、テレビから聞こえる笑い声がやけに響いた。
「美恵ちゃん…」
光太郎の緊張した声が聞こえる。
顔を上げ、近づく顔を受け入れるべく瞼を閉じた。
優しく触れる唇。
一度離れ目を開けると頬を赤く染めた光太郎が目に入った。
どちらが何かを言わずとも、再び顔を近づける。
しかし力加減がわからず歯と歯がぶつかりゴツっと音を鳴らした。
それでも口を開ければ舌が中に入ってくる。
お互い不慣れながらも舌を絡めあい、唾液が口内で混ざり合う。
初めての感覚。
彼の息遣いが近い。
鼓動は徐々に速くなり、身体中が熱くなるのを感じる。
肩を押され、ベッドに押し倒される。
光太郎は顔を真っ赤にしながらなんとか口を開いた。
「ご、ごめ…お、おれ…こういうの、はじめて…で…」
「…私も、初めて…だから…一緒にがんばろ…?」
光太郎は唾を飲み込み頷く。
恐る恐る手を動かし、なんとか美恵の胸に奥。
ゆっくり、撫でるようにバスローブの上から動かされ羞恥心で胸が張り裂けそうだった。
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