未知の快楽に溺れる

・作

新入社員は患者さんと女性スタッフの人気者。そんな彼に食事に誘われ、全く予想していなかったラブホテルへの誘いを受けることに…。思わぬ展開に戸惑いながらも彼の意外な一面を見せられ、経験したことのない快楽に溺れていく。

窓から見える明かりがきれいだった。
ライトアップされたホテル街へどんどん近づいていくにつれ、これから起こることへの不安と期待感も高まっていた。
彼の手がずっと太ももの上に載っていてその手が動くたびに体が反応していた。
横から見ても整ったきれいな顔に吸いこまれてしまいそうだった。

*****

佐伯くんと初めて会ったのは2年前のことだった。
勤務先の病院に技術職として入社してきた彼は、成績トップで専門学校を卒業したばかりの新卒だった。

職種は違えど、同じ部署とのことで受付担当の私は、事務的な手続きや電子カルテの設定など彼に教えることはたくさんあった。
成績トップと聞いていたので構えていたが、誰にでも分け隔てなく接する彼に好印象を持っていた。

見た目の良さだけではなく、豊富な知識と人当たりの良さで患者さんからも気に入られ、すぐに部署の人気者となった。
看護師や他の部署の女性もそんな彼を放っておくわけもなく、仕事のふりをして堂々と見に来る人もいれば、こっそりと連絡先を渡すツワモノもいた。

『こういうのって困りますよね…』

初めの関わりですっかり親しくなった佐伯くんとは、昼休みが一緒になるとよく話をしていた。
看護師に渡された連絡先が書かれたメモを、私に見せることもあった。

佐伯くんに食事に誘われたのは、彼が入社して半年が過ぎた頃だった。
近くにできたイタリアンのお店に行こうと誘われ、なんの抵抗もなく誘いにのった。

そしてその帰り、彼は急にこう言った。

『ゆーさん、ホテルいこう』

あっという間の展開に初めは頭がついてこなかったが、イヤではなかった。
私の潜在意識にも、もしかしたらこうなるかかもしれない期待があったのかもしれない。

*****

右折をして入ったそこはお城のような作りの、典型的なラブホテルだった。
階段を上りドアを開けた。

ラブホテルに来るのは何年ぶりだろう…。

緊張しているのがわかる。

『ゆーさんの体、見せて』

そう言いながら、すでに彼の指は私のブラウスのボタンをはずし始めていた。
窓の外から漏れる明かり以外に照明は付けていない暗さに救われる。

30歳を超えたあたりからいろんなところに余計な肉が付いた。
自信を持って人に見せられるような体でないことは自覚していた。

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