泣かせて溶かしてお召し上がりください (Page 2)
一体何がどうしてこんなことになったのか。
「も、ダメだって。い、意地悪っ」
「アニマル系もだめと。今度は笑って泣ける系行こうか」
なぜかAV機器が充実し、小さなスクリーンがあるホテルの一室で泣ける映画攻めをされている。ちなみにまだ2本目が終わったところだが、すでに号泣気味だ。明日これ絶対に目が腫れそう。
「ははっ、会社では隙のない顔がぐずぐず。メイク落として来たら?俺、ちょっとコンビニ行ってくるから。帰んないでね」
「分かってるわよ!」
苛立たしくそう返す。でも、本当にひどい顔。明日は目だけじゃなくて顔も腫れそう。メイクを落として、水に浸したタオルを固く絞って、目に当てる。やらないよりはマシなはずだ。その少し後、神尾君が帰ってきた。
「あ、本当にいた。よく考えたらコンビニこの近くなくてさぁ、ドラッグストア行ってきた。ドラッグストアって何でもあるよなぁ」
そう言って、お茶のペットボトルを渡される。渡されたお茶を見て、神尾君を見上げる。
「ありがとう…」
「すっぴんだと幼いね。なんか可愛らしい感じ?俺は断然こっちのが好みだな。いつもの早乙女は早乙女でいい女だけど」
「嘘ばっかり」
「本当にそう思ってる。俺は女を褒めるときにお世辞と嘘は言わない主義」
ちゅっと瞼に唇が触れる。泣きすぎたせいで赤くなってしまった目尻にも唇が触れる。反射的に閉じていた目を開けると、目があった。瞳の中に映りこむ私は途方に暮れたような顔をしていた。
「可愛い、千早」
そういわれて、壊れ物でも扱うみたいに優しく口づけられた。少しして離れた唇がまた近づく前に両手で唇を隠すように覆う。そっと片手を取られ指先に軽くキスをされる。
「嫌だった?だめ?」
懇願されるように見上げられる。びっくりはしたけれど、嫌じゃなかった。手を握っている方とは逆の手で、甘く頬を撫でられる。
「だめ、じゃない…」
言い終わるか否かのタイミングでまた口づけられる。わずかに開いた唇をこじ開けるように舌が侵入する。逃げ惑う舌を絡め取られ、どちらのものか分からない唾液が口の端を伝った。
ベッドに押し倒され、羽毛布団が乾いた音を立てた。久しぶりの深いキスに頭がぼうっとする。キスってこんなに気持ちよかったっけ。ぷつりとブラウスのボタンを外される。
「やっぱり嫌だ?やめとく?ここから先はやだもやめても聞かないから」
「やめなくていい、…こんなこと女に言わせないでよ」
「あーもう、ホント可愛くていい女だよ千早は」
一つづつブラウスのボタンが外され、腕から抜き取られ下着があらわになる。唇が首筋を辿る感覚に体を少し震わせた。
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