ワンナイトだけじゃ物足りないの (Page 3)
髪を乾かしながらピンク色の天井を見上げる。あの日とは違うラブホ。いざ素面となるとなんか緊張する。初めてでもないのにおかしいだろうか。
手持ち無沙汰そうにスマホを見ていた隼人が目線を上げる。
「時間かかってごめん。髪乾かすの手間取って」
隣に座ると、手元のスマホをぽんっと枕元に置く。
「本当にいいの?」
そう顔を覗き込みながら聞かれ、返事の代わりにこくりと頷いた。
壊れ物に触れるみたいにそっと触れた唇は角度を何度も変えているうちに、自然と深いものに変わった。熱のこもった吐息も情欲に燃える瞳も初めて見た。良く知った友達の初めて見る表情に、ついじっと魅入ってしまった。
「何じっと見て、かわいいね」
「ごめっ、初めて見る顔だから…」
「今日の千波謝ってばっかりだな、それは俺もか」
そういえばそうかもしれない。そう思うとくすりと小さく笑ってしまった。頬に隼人の人差し指が触れる。軽く撫でると同時にその目が愛おしげに細められる。その視線がくすぐったい。
どさりと柔らかいベッドに押し倒される。するりとバスローブの紐を解かれ、肩からバスローブを落とされた。見られてると思うと急に恥ずかしくなり、目を逸らしてしまった。
「変わんないな、恥ずかしかったり、照れたりすると目を逸らすとこも」
言われるまで気が付かなかった。なんで私すらも知らない癖を隼人は知っているんだろうか。さも昔から知っていたように。
「あっ!」
急に胸の頂を引っかかれ、小さい嬌声と共にそんな考えはあっというまに霧散した。弾かれたり撫でられたりしてじんとした快感が広がっていく。軽いキスと共にちゅっと吸いつかれ、腰が跳ねる。飴を転がすみたいに口の中で転がされ、唇で食まれ、じゅっと強めに吸われる。空いた方は指先で転がし、全然違う快感に体が痺れた。
「ああんっ、はあっ、は、やと」
吐息交じりに呼んだ名前は自分でも信じられない位甘えた声だった。思考回路がとろける。胸だけの刺激がもどかしくなり新しい刺激を求め自然と脚を擦り始める。
「胸だけじゃ足りない?物欲しそうな顔して」
「そんな顔してた…?」
「とろとろで途方に暮れたみたいな顔。エロくてかわいくてそそられる」
そういって隼人は腕にかろうじて引っかかる程度にはだけてしまったバスローブを脱ぎ捨てる。直に触った隼人の胸は鼓動が早くて大きい。手のひらから伝わるその鼓動に私の鼓動も早くなった。
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