ウブな後輩に跨ってみた

・作

初デートで早々に失敗した二人は休憩するためにラブホテルへ。気分が落ちている彼を励まそうと愛を囁きながら口付けをすると、彼のウブな反応に行為は止まらなくなってしまい…。体格に反して快楽に弱い彼を攻めて攻めて攻めまくれ!

甘酸っぱい果実が口いっぱいに広がる。

果汁と砕かれた氷の食感が心地いい。

スムージーを食しながら瀬奈は街の喧騒を眺めていた。

別にただ散歩がてらに眺めているわけではない。

待ち人が電車の遅延によって予定よりも遅れが生じているだけだ。

「先輩ー!すみません遅れました!」

息を荒くはせながら駆け寄って来たは瀬奈の彼氏、秋斗だ。

ゆっくっりでいいと言ったのに真面目な男である。

「遅いぞー後輩。これ奢りなー」

瀬奈が笑いながらスムージーの入った容器を揺らす。

秋斗は頭がとれてしまいそうなほどぶんぶんと縦に振れば「もちろんっす!」と答えた。

電車の遅延など仕方のないことなのだからそれほど気にしてはいないので冗談であったのだが、まあいい。

あとでありがたく奢られるとして、いざ本題の初デートといこう。

「それじゃーいこー」

「あっ!せ、先輩!」

「ん?」

いざデートを開催しようと歩いたところで秋斗は恥じらうようにもじもじと動く。

何事かと首を傾げれば躊躇うように口を開閉している。

しばらくその状態だったが、彼は意を決したように口を開いた。

「荷物持ちます!!」

「え。いいよ別に」

「…はえ?」

威勢をへし折られ、石像のように固まる秋斗。

瀬奈は気にせず歩みを進めると慌てたようについてくる。

「いや!ここは俺が荷物持ちします!」

「だからいいってばー。そこまで重くないし」

「でも…!俺にエスコートさせてください!」

「エスコートって…あ、ちょっと!」

肘にかけていたカバンを引っ張られ大きく体が傾く。

慌てて体勢を保ち、横転は免れたものの手に持っていたスムージーは運悪く蓋が空き。

「あ」

「あ!?」

瀬奈の服にべったりとシミをつけたのだった。

*****

「すみません…俺、どうにかいいとこ見せようって…」

「大丈夫だってー。そんな気にしてないからさー」

服を盛大に濡らしたあと。

二人は予定を変え休憩所に駆け込んだ。

少しいいところの休憩所であったため、服の洗濯もできさらに乾燥までついてくるという優れものだ。

ことの原因である秋斗がこれでもかというほど落ち込んでいるので、休憩所のサービスをふんだんに使ってやろうと二人は湯浴みをしバスローブに身を包み、ミラーボールを光らせ、映画を映し出していた。

部屋の中央に置かれたキングベットに腰をかけ、さらにお互いバスローブとなるとなかなかに雰囲気が出ている。

というより休憩所という名のラブホテルなのだから雰囲気は出て当然なのだが。

「先輩は…経験も多くて…その、かわいいから…がっかりしてほしくなくて…」

「多いってほどでもないけど…」

秋斗にとって瀬奈が初めての彼女であるというのは聞いていた。

大学の後輩であるため、付き合った今でも未だ敬称はつき敬語のままなのである。

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