風俗でバイトしていた過去がばれ、上司に脅され犯されるなんて…
上司の三田に1枚の風俗店のチラシを突きつけられ、詩穂は愕然とする。そこには学生の頃、やむを得ない事情でわずかな期間だけバイトをした自分のいかがわしい姿が映っていた。その写真の女が詩穂かどうかを確かめるために、三田は身体検査をすると迫る。詩穂は精一杯の抵抗をするが、三田に腕を縛られ、無理やり陵辱されるのだった。
「ねぇ、知ってる? 三田課長が昨夜、すごく綺麗な女性を連れて歩いてたんだって」
「えぇ、新しい恋人かなぁ、アタックしようと思ってたのに残念!」
同期入社の女性社員の嬌声が、昼休みに入ったばかりのオフィスを賑わしている。
この春大学を出て、M商事に入社してまだ半年ほどしか経っていない詩穂だが、課長の三田弘幸が独身貴族として女性社員の羨望の的であることは知っている。
三田はたしかに端正なマスクをしており、男性ファッション誌から抜けだしたようなスーツ姿で、いつもビシッと決めていた。詩穂もまた、三田に対して憧れにも似た気持ちを抱く一人だ。
その三田に会議室に来るように言われ、詩穂の胸は高鳴っていた。一人だけ会議室に呼び出されるのは初めてのことだけに、なにか仕事でミスをしたのかもしれないと不安になる一方、会議の資料でも用意するように頼まれるだけだろうと軽く考えていた。どんな用事であれ2人だけで密室で会うとなると、なにかしら胸がときめいてしまう。
会議室に入ると、すでに三田が待っていた。眉間に皺を寄せ、いかにも小難しい表情を浮かべている。
促されるまま隣の椅子に腰を下ろすと、三田がつぶやいた。
「困ったことになったよ。人事に事の真相を確かめるように言われたんだ」
三田は一枚のチラシをテーブルの上に広げた。
それを目にした瞬間、詩穂は目を見張り、恥ずかしさで真っ赤に染まった顔を引きつらせた。
歌舞伎町にあるピンサロのチラシだった。
「この中央に映ってる乳房を丸出しにした女性が、君だという投稿があったそうだよ。目にぼかしが入ってるから、よくはわからないが、たしかに君に似ているようにも見える」
そのチラシのことは、よく覚えている。2年前、父の経営していた会社が突然倒産し、大学生だった詩穂は学費の捻出に困り果て、やむなくピンサロでバイトをしたのだ。
当時、自分の写真が勝手にチラシに使われていることに驚き店長に猛抗議をしたのだが、すでにチラシは出回っており、どうすることもできなかった。ぼかしが入っているのだから誰にも気づかれるはずもないと説得され、わずかばかりの謝礼をバイト代に上乗せされただけで納得するよりなかった。
まさか2年前のチラシが、今になって社内で問題になるとは思ってもいないことだった。
「私は君がこんな破廉恥なバイトをしていたはずがないと抗議したんだが、どうやら専務の耳にも入ってしまったらしくてね。昔のこととはいえ風俗で働いていたような女性を我が社の受付に座らせておくわけにはいかないと、カンカンなんだよ」
詩穂は頭のなかが真っ白になり、突如として足下が崩れ去り、どこまでも落下していくような絶望感に打ちのめされた。
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