おにいちゃん、いけないことして
ライブ帰りにわたしはお隣さんだったお兄ちゃんと街中で再会する。帰る足がないことを伝えると、うちに泊まっていけば、と提案される。昔のようにじゃれあっていたが、いつのまにか、いけない雰囲気に。気持ちは止まらず、わたしは互いの性器を舐め合う提案を受け入れてしまう。
「え?あれ、お兄ちゃん?」
街中で見かけたのは、スーパーのレジ袋を提げたお隣のお兄ちゃんだった。
「聖奈?」
お兄ちゃんもこちらに気付いたようで、立ち止まってくれる。わたしは小走りで近寄る。
「こんなとこで何してんの?」
「何って……買い物だけど…」
「それは見ればわかるよ。なんでここにいるの?」
「あー……言ってなかったか。実は俺、最近このへんに引っ越してきたんだよ」
「え!?いつ??ひとり暮らし?」
「そ、ひとり暮らし。つっても、半年前だけど」
「やば!全然知らなかったなあ」
「だろうな。10年くらい会ってなかったもんな」
お兄ちゃんは、わたしが10才の時にお隣に越してきた人で、ひとりっ子だったわたしは、彼を実の兄のように慕っていた。
お兄ちゃんとは7つ年が離れていたが、お兄ちゃんはよく、わたしに付き合って遊んでくれた。
けれど大きくなるにつれ、互いの時間も合わなくなり、次第に交流はなくなっていった。
10年越し久々の再会に、昔話に花が咲く。
「てか、聖奈はなんでここにいんの?」
「わたしはライブ帰り」
「お前もライブなぞ行く年頃かあ」
「お兄ちゃんなんかジジくさいよ」
うるさいと頭を小突かれる。
「つーかさ、こっから家まで遠くね?どうすんの?」
「うーん……。9時の電車で南駅まで行って、そっからはタクシーかなって。バスはないし」
「9時!?そんなん2時間以上あんじゃん」
田舎だもんなあ。
田舎だもんね。
2人で顔を見合わせ、力なく笑う。
お兄ちゃんが顎に手を当て、うーんと唸った。
「もしよかったら、ウチこねえ?タクシー代浮くだろ」
「え!?いいの?助かる!!」
「即答じゃん。飯もたいしたのは作れねえけど」
「全然!全然!ほんと助かる!!」
飛び上がりそうになりながら喜ぶわたしを、お兄ちゃんは「喜びすぎ」と鼻で笑う。
「いやこれはマジで助かるやつだよ」
「はいはい。大げさ」
とてもドキドキしました!
匿名 さん 2020年6月4日