真夏の熱にやられて。 (Page 2)
泡を流しきってから浴室の扉を開けると、脱衣所にはバスタオルと朝顔模様の浴衣が用意されており、コンビニで購入したのか未開封の女性用タンクトップとショーツもあった。
どうせ脱ぐから必要ないと思い、浴衣のみを素肌に纏ってから居間へ向かう。確かここだったかな、とすりガラスの引き戸を開ければ、ちょうど彼がお茶の用意をしているところだった。畳とちゃぶ台というレトロスタイルな居間で、冷えた麦茶とカステラをいただく。
「さっきはすまないねぇ。思いつきで打ち水でもしてみようかなんて思ったのが良くなかった。洗濯もあと三十分もありゃあ終わるみたいだから、それまで少しゆっくりしていってくれ。ところで、お嬢さんは着付けが出来るのかい?」
「ええ、まぁ。浴衣くらいなら…」
「そりゃすごい。替わりの服が他に無かったから、一応用意してみたんだが心配だったんだ」
話を聞けば、彼は呉服屋をしているらしい。といっても店舗は無く、男性をターゲットにした着物をメインにインターネットでのみ販売しているとかなんとか。一応子供用と女性用にも浴衣を販売していて、その在庫をうんぬんかんぬん…途中から上の空でよく聞いていなかった。そんなことよりも、一体どうやって情交に持ち込もうかとばかり考えていた。
「大丈夫かい?なんだかぼんやりしてるが…もしかして日差しにやられたか?もう少し冷房の温度を下げようか?」
心配そうに彼は顔を覗き込んでくる。こいつは重畳、と時代劇に出てくる悪役宛ら、私はその優しさに利用することにした。
「…いえ、ちょっと胸が苦しくて。少しさすってくれます?」
胸をはだけて素肌を晒す。浴衣の下に何も着ていなかったことに彼は目を丸くした。しかしすぐに察したのか彼は溜息をついてから、
「お嬢さん、もう少し自分を大事にしな…って言いてぇところだが、据え膳食わぬは何とかって言うしな。いいぜ。でも、後悔するなよ」
そう言うと、私を畳の上に押し倒した。
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