何を考えているかわからないと思っていた先輩の心の声は甘々でした (Page 2)
他の人には教えるな??
なんでだ??
「…社のやつと仕事終わってまで顔合わせたくないんだよ」
「えっ、じゃあ私いちゃ悪いですよっ、帰ります」
バッグに手を伸ばして立ち上がろうとした時。
「待て待て。だから教えるなって言っただろ。間宮はいいよ」
いや、社のやつって私も社のやつだし。
混乱したままの私達のところにマスターさんが戻ってきた。
「はいこれ、嫌いな食べ物入ってないかな?」
「…!!美味しそう!はい、全部好きです」
豚しゃぶにトマト、キュウリに玉ねぎが和えられたスパサラ。ゴマだれも自家製なのか、風味が深くて具材との相性が良い。
「しっかし…桃矢が人を連れてくるなんてな〜」
「お…お2人、長い付き合いなんですか?」
「俺ら高校からの付き合い!人付き合いが嫌いなコイツが人連れてくるなんて初めてだよ。あっ、俺文哉ね」
ニヤニヤと文哉さんが竹田さんに視線を送るけど、竹田さんはしれっと無視してお酒を飲んでる。
文哉さんが楽しそうに竹田さんとのエピソードを語ってくれている。
会話を探すのも大変な話しベタの私は大助かり。
お手洗いに竹田さんが席を立つと…
「夏菜子ちゃん、今日は何かあったんでしょ?」
「へ、?」
「桃矢が話聞いてやってって。さっきわざわざメール入れてきたんだよ」
そこから今日あったことを話すつもりはなかったのに、流石接客業をやってる方。
聞き出し方も嫌味もなくて自然で、ついつい零してしまう。
「は〜…にしてもあいつ、昔から来る者拒まず去るもの追わずで、何考えてるか分からんって言われてばっかだったのに、自分で誰かを連れてくるなんてね。いや〜感慨深いわ」
「竹田さん、会社でもかっこいいからモテるのにあんまり女の人寄せ付けないですからね…確かに、何考えてるかは分からない人かも…」
「あっ、そうだ!こないだ面白いもの知り合いからもらったんだけどさ?」
「…??」
裏に急ぎ足で戻って何かを取ってきた様子の文哉さんは…
「これ、試してみようよ!」
小さな小瓶を出してきた。
なんのパッケージもない、中身は無色透明の液体。
「えっと…文哉さん、これは?試すって…」
「これ、あいつに内緒で使ってみるか。思ってることが口に出ちゃう薬なんだって」
効果は飲んでから30分くらいしてかららしいから、と小声で耳打ってきた文哉さん。
ジョークグッズだろうけど、パッケージもない。やめた方が…と思った時には遅かった。
3滴、竹田さんのグラスに注がれてしまったのだ。
「文哉さん、それ…市販品ですか?」
「いいや。知り合いからもらったの。研究者の知り合いからね」
「危ないんじゃ…」
「体に悪いものは入ってないらしいから大丈夫だと思うよ」
文哉さんは未だにニヤニヤしている。
…と、そこで竹田さんが席に戻ってきた。
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