雨も滴る可愛い同僚を泣かせるはずが、なぜか私が啼かされてしまいました (Page 2)
翌日は土曜日ということで、2時間コースをみっちり飲みまくった。
帰る頃にはみんな、千鳥足になって、べろんべろんに酔っていた。
私はというと…かなり酔っぱらってしまっていた。
しばらくダイエットのためにお酒を断っていた反動だと思う…。
いつもはビール2,3杯で過ごすのに、今日は甘いものが欲しかったせいだと思う。
なかなか飲まないカクテルに走ってしまい、結果的にものすごく酔ってしまったのだ。
居酒屋から出ると雨はまだ降っていて、各々タクシーを拾って解散となった。
そして、気付くと私は海翔と2人残されていたのだ。
「雪奈は相変わらず、酒飲んでも顔色変わらないなぁ」
「うん?まぁね…。でも、今日は少し飲み過ぎたのかも…フラフラする…」
まじで?と心配そうに私を見る海翔自身も、街灯に照らされて、目がトロンとしているのが分かる。
でも、私よりは酔っていないかな。
いいなぁ、私も海翔くらい可愛い酔い方が出来たらいいのに…。
「どうしたんだよ?俺の顔に何かついてる?」
「はぁ…いいね海翔は。酔っても可愛くて」
「え!?俺が可愛い?って、雪奈相当酔ってるな~」
ゲラゲラとお腹を抱えて笑う海翔を、ただただ見ていると、小雨だった雨が急に土砂降りへと変わった。
ぎゃー!と叫んだ海翔は、ボケッとする私の手首を掴むと、一目散に近くの大きな建物へと走った。
「うへ~、まじで濡れたな。気持ちわる~」
私も全身がずぶ濡れになって気持ち悪くて仕方ない…。
でも、濡れて気持ちも悪いけれど、気分も悪くなってきたような気がしてきた。
酔った状態で全力ダッシュしたせいで、余計に酔いが回ったような気がする。
「海翔、私…気持ち悪いかも…」
「大丈夫か!?う~ん…よし!ここに入ろう」
海翔は私の背中をさすりながら、雨宿りに飛び込んだ建物を見上げる。
そう、ここはビジネスホテルだったのだ。
突然の大雨で、私たちのように帰れなくなった人が多かったのかもしれない。
夏休みや連休でもないのにホテルはいっぱいで、2人で一部屋となってしまった。
でも、今はとにかく休めればそれでいい。
私は、ほっとした気持ちで部屋へと入り、そのままベッドへ倒れ込んだ。
ふかふかの布団が気持ちよくて、このまま眠ってしまいそうになる。
「おい、雪奈!濡れたまま寝るなよ」
「でも、着替えとか持ってきてないし…」
呆れたような顔をしながら、上着を脱いで部屋の冷蔵庫に入っていた水を手渡してくれる海翔。
ってゆうか、まだ頭はぼんやりするけれど、この状況ってどうなの!?
ラブホでないにしても、2人きりだし、同じ部屋だし…。
まぁ、相手は海翔だし、心配するようなことは起きないかな。
私はなんとも言えない気持ちになりながら、起き上がって海翔から水を受け取る。
すると、何故か海翔が私の目の前に座った。
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