最後まで気づかれなかったら…ご褒美な?

・作

幼なじみである尚ちゃんと春人お兄ちゃんの家族と仲良しの花音の楽しみは、みんなでお酒を飲んで1週間の疲れを癒すこと。だけど今日はみんな出かけていて尚ちゃんと2人きり。そして、仕事でヘトヘトに疲れている私は尚ちゃんにマッサージしてもらうことになったんだけど、なんだか彼の手つきが怪しくて…。このままじゃ春人お兄ちゃんに見られちゃう…!

「んんっ…ダメ…っ」

「ここじゃマズいよね…、向こうの部屋行く?」

「そういう問題じゃ…ないっ…んっ、はぁ…あっ…ダメっ」

首筋には舌が這いまわり、ショーツの上からは指で割れ目を撫でられているうちに、私の身体は徐々に熱を帯びてきていた。

「尚ちゃん…っ、春人お兄ちゃんが帰って来ちゃうから…あっ、あん…もう…やめよ?」

「春にぃ、びっくりするかな?」

そう言って、悪巧みを考えるようにニヤッと笑う尚ちゃんを見て、私は嫌な予感がした。
そして、まさかその予感が的中するとは…。

*****

「お邪魔しまーす!あれ?おばさん、今日仕事だっけ?」

「あぁ、今日は親父と旅行に行ってるよ」

「相変わらず仲良しだし元気だね、私はまだ23歳なのに体のあちこちが悲鳴上げてて、今は旅行なんて行く気力ゼロだよ~」

よいしょ、と言いながら私は玄関でパンプスを揃えて大きなため息をついた。

「ははっ、花音は本当に俺と同い年か!?ほら!俺を見て見ろよ、仕事終わってもこんなにピンピンしてるんだぜ」

尚ちゃんはそう言って、筋肉を見せびらかすド定番のポーズをとっていた。

はいはいと適当に反応しながらいつものようにテレビの前のテーブルに買ってきたおつまみを広げる。

私はエステティシャンの仕事をしているんだけど、これがけっこう疲れちゃったり…。
もちろん、お客さまが綺麗になった肌に喜んでくれている姿に、こっちも幸せな気持ちになるから大好きな仕事ではある。

だけど1日が終わると、どっと疲れが出てしまい、腕から肩にかけてがパンパンになるのだ。
だから私は仕事が終わると、かなり疲れ切っていることが多い。

一方の尚ちゃんは、レストランでシェフの卵として働いている。
1日中立ちっぱなしで私よりも遥かに体力を使っているはずなのに、いつでも元気なのが本当に不思議に思うし、その有り余る体力がめちゃくちゃ羨ましい。

そんな尚ちゃんからの提案で、金曜の夜は尚ちゃんの家に集まって『1週間お疲れ様会』を行うのが、ここ1年の定番となっていた。

おばさんやおじさん、尚ちゃんのお兄さんである春人お兄ちゃんと一緒にみんなでお酒を飲みながら、ひたすらお喋りする時間が至福の時なんだよね。

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