かわいい彼女の作り方 (Page 2)
「…ごちそうさまでした」
「はい、お粗末さまです。でも…イマイチでしたか? 梓さん、なんか元気ないし」
向かいに座った爽くんが、顔をのぞき込んでくる。…わかっちゃうか。怒った上に、心配なんかさせたくないんだけど。
「そんなことない。爽くんの料理はいつだって最高だよ。…ただ」
ちょっと言い淀み…それでも、口にする。
「ただ、ちょっと考えてたの。爽くんは優しいし料理上手だし。ちょっと気弱だけど、誠実だし。対して私は、年上で料理もできないし。口うるさい、可愛くない上司だし。全然、釣り合ってないなって」
言いきると、爽くんは頷いた。
「…釣り合い。まあ、確かに」
う、と口ごもる。自分で言ったことだけど、肯定されると辛い。
ううん。誰に肯定されても平気だけど、爽くんに言われると。
「ごめん…こんな彼女でごめんね、爽くん…!」
謝ると、ついでに涙も出てきた。…ああもう、めんどくさい彼女すぎる。
「ちょ、梓さん、泣かないで…って! いつの間に全部飲んだんですか!?」
テーブルの上のワインの空き瓶を振りながら、呆れたように言う爽くん。
そういえば爽くんを眺めて待ってたら、持ってきてくれた気が。
「だって、爽くんを見てたらくれたから。僕をオカズに飲んでろってことかと」
「違いますよ!? 大体、オカズってそういう意味じゃ…いや、とにかくベッドに行きますよ?」
*****
「…ん…」
目覚めると、ベッドの背もたれに寄りかかり、本を読んでる爽くんが目に入った。パジャマ姿で読書灯だけ点けてる。
あれは爽くんが泊まって行く日用に置いてるものだし、明日は…休日だっけ。
横になったまま見ていると、爽くんが気づいたらしく「起きましたか」と本を閉じ、隅に置いた。
「そ、ん…っ…!」
爽くん、と呼びかけた唇をキスで塞がれた。そして覆いかぶさるような体勢で、またキスされる。
ちゅ、ちゅ、という優しいキスを重ねられる。…気持ちいい。力を抜いて、それに応える。
「…全く。梓さんはお酒強くないんだからあまり飲んじゃダメって、前に言ったじゃないですか」
唇を離し、そう言ってから「おしおきです」と、爽くんがまたキスをしてきた。
今度は深い…深い、キス。舌先で舌先を捕らえられ、絡められ、奥まで入れられる。何度も、何度も。
レビューを書く