ご主人様の御心のままに
アパレルを中心に展開する大企業の若き社長の邸宅で、住み込みのメイドとして働いている灯。ある日ご主人様に『それとは別に頼みたい仕事がある』と言われて…。こちらを甘い目で見つめるご主人様にドキドキが止まらない!
住み込みのメイドとして働き始めて二年。家事が好きな私にこの仕事はまさに天職だ。
この邸宅の主人で私が密かに思いを寄せる澪様はすごい人だ。顔面は国宝級、アパレルを中心に展開する大企業の若き社長として雑誌に特集を組まれたりしている。そんな人のもとで働けるなんて幸せ。そんなある日、澪様に声を掛けられた。
「灯、手は空いている?」
「夜からでしたら。あ、執務室のお掃除か何かですか?」
「それとは別に頼みたい仕事があるから、23時に部屋に来て」
「かしこまりました。お伺いいたします」
別に頼みたいことってなんだろうか?しかも部屋?もしかして不備のお叱りとか…と思い詰めてしまった。仕事は滞りなかったけど、思い詰めた私は階段を踏み外した。
*****
夜23時、そっと澪様の部屋のドアをノックする。
「灯です」
「入って」
澪様は何やら書類仕事の途中だったらしい。ペンを置き、紙袋を差し出された。澪様の会社のこれは下着メーカーのだ。私もいくつか持っている。
「新商品のサンプル。着てみて気に入ったら、もっていってもいいよ」
「わあ、いいんですか?じゃあ、明日からさっそく…」
「明日からじゃなくて今から。マネキンだけじゃ調整できないところがあるから」
どうやらマネキンでは伸縮性や着心地に対して疑問があるらしい。いやそれは分かるけれど、それってつまり…
「いや、その、メイド服の着用は可でしょうか?」
「伸縮性やフィット感を見るのに着衣の上では分からないから。勿論特別手当も出すし、灯にしか頼めないんだ」
特別手当以上に私にしか頼めないは殺し文句じゃないでしょうか?懇願するような目でそんな事言われたら、断れるわけがない。
結局私が折れた。着替えは自室で、自室からこの部屋まではメイド服着用という希望は聞いてくれた。
澪様からもらった紙袋に入ったサンプルは面積が少なく、大人っぽいデザインの下着。黒いレースの蝶が妖艶な雰囲気を出している。コレ、似合うんだろうか。そして澪様に見せられるような代物なんだろか。でも、やると言った以上は仕方ない。
「み、澪様。あの失望したりしないでくださいね…」
ガッカリした顔されないかが心配で震える手でメイド服を脱いでいく。とうとう下着姿になった私を澪様はじっと見ている。
「締め付けられる箇所や気になる点は?」
「あ、はい、大丈夫です。これと言って不具合もサイズも大丈夫です。ただその、布の面積が少なくて恥ずかしくて…」
「綺麗だよ、思ってた通りよく似合う。白い肌に黒い蝶が映える」
澪様の唇が指先に触れた。
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