久しぶりに会っても、幼馴染の強引なペースに身も心も乱される私

・作

誰にでも忘れられない恋ってあると思う。気乗りしていなかった同窓会で奏多に会ってしまった。相変わらず俺様なとこも変わってない。付き合ってるのかも分からない距離のまま離れたのに、今更強引に迫ってくるのはどうして?また振り回されると思ってもときめいてしまった。

ふー…何年ぶりだっけ、10年?11年か、なんでこんな中途半端な年数で。
うわ〜懐かしいこの景色。

畑ばかりの変わらない景色。

今日は小中の同窓会。
ほんとは来る気もなかったけど。

「あっ!晶!こっちこっち!」
「夢乃、久しぶりだね」

「すっかり都会の美人さんだね!元から綺麗だったけどさ」
「そんなことないない」

高校からは離れた他県の寮に入って地元とは疎遠になっていた。
親とも関係は良好じゃないしね。

同級生たちと他愛もない会話をしていた。
すごく雰囲気が変わった人もいれば、昔の面影そのまんまの人もいる。

昔の記憶でストップしている人たちとお酒を飲みながら話すなんて変な感じ。

皆と談笑していると、視線を感じた。
…?
辺りを見渡すと、丁度出入口のところに男の人が立っている。

なんだか都会っぽい雰囲気のシャレた人だなー…って、あれ奏多?
しかも見られてるし。

目が数秒合ってはいたものの、奏多らしき人物が他の人達に話しかけられて別のグループのもとへ行った。
女子率高。

*****

2時間ほど話しながら食べて飲んでしていたら、お手洗いに行きたくなった。
済ませて会場に戻ろうとすると、会場を出たところで奏多が立っている。

何してるんだ?と思いつつ、会場に戻ろうとすると目が合った。
目配せで外に来いと合図する奏多。
…変わらなさすぎ。中身だけ。

*****

「晶、久しぶりだな。お前荷物そんだけ?」
「久しぶり。…うん。ホテルに置いてきたから」

「これから飲み直さねぇ?会いたかったやつには大方会ってきたからもう出る気なんだけど」

「…取り巻いてた女たちがいたでしょ。お誘いいっぱいあったでしょ?」
「名前も覚えてねぇよ誰だあれ」

「出た「とりあえず行くってことでいいのな?夢乃にでも抜けるって連絡入れとけば」

「どこ行くのよ」
「んー…近場は嫌だな。隣町までいこうぜ。タクシーそこにいるし」

どこまでも自分のペースなやつ。

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