ロールキャベツ男子は二度美味しい
彼氏が草食男子だからか淡白でちょっと物足りない亜希。友達にそんな相談をすると『惚れ薬』を渡されて…。効果については半信半疑だけど飲ませてみたら彼氏が豹変!初めて見る表情にドキドキが止まらない。いつもでは考えられない激しい愛撫に蕩けちゃう。
私の彼氏である大和はいわゆる『草食男子』というやつである。『植物』、『絶食』よりは積極性があるのだけれど…
「あっさりしてるというか、淡白というか。うまく言えないけれど、もっとぐっと来てくれてもいいと思う」
友達の千鳥とショッピング途中に寄ったカフェでそんな話をした。
「亜希の彼氏って優柔不断なところあるし、見るからに淡白そうだよね。あ、そうだ、丁度いいのあるよ」
そう言って千鳥がバッグから取り出したのは小さな錠剤。
「何これ?」
「惚れ薬ってやつ。あ、大丈夫怪しいやつじゃないから。あれ、ほら、ネタとかにあるやつ。ま、気休め程度だろうけど使ってみたら?案外効果あったりして」
「ふぅん。使ってみようかな、ありがとう」
惚れ薬とかあるんだな。ネタとかって言ってたからただのビタミン剤だったりして。
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今日は10日ぶりのお家デート。キッチンでお湯を沸かしながら、紅茶の準備をする。香りの強いアールグレイとかならなんか入れても分からないし、レモンの輪切りとか添えたらさらに分からないだろう。千鳥は無味無臭って言ってたけど。
カップが分からなくならないように、大和の紅茶だけ来客用のカップに入れた。私のは普段使いのカップ。錠剤を熱い紅茶が入ったカップに落とすとほろりと溶けた。くるくるとスプーンで軽く混ぜる。これで良し。
「大和、紅茶どうぞ」
「ありがと」
来客用のカップを大和の前に置く。好奇心がなかったと言えば嘘になる。どんな感じなのかと。紅茶を冷ますふりをしながら、こっそり大和が紅茶を飲んだのを確認する。
5分、10分、大和の様子は特に変わりない。まったくもっていつもと同じだ。やっぱり眉唾のビタミン剤とかサプリの類だったのかな。ところが20分後。
「なんか、暑くないか?」
「え、そう?今日は肌寒い位だけど」
大和は着ていたパーカーを脱ぐ。大和はしっとりと汗ばんでいた。
「大丈夫?アイスノンか何か持ってこようか?冷えピタも冷蔵庫にあったはず…」
立ち上がろうとするとパッと手を取られた。俯いてる大和の表情は分からない。グッと手を引かれ、バランスを崩し大和の方に倒れ掛かると、唇を塞がれた。
「え、大和?」
「亜希」
名前を呼ばれ、何か言おうと口を開きかけたところでやや強引に大和が口づける。熱い舌があっさりと侵入し、歯列をなぞられ、上顎をくすぐられ、突然のことに逃げ惑う舌を絡め取られる。
「はあっ、大和…」
私より戸惑った顔をしていたような気もするけど、私を見つめる瞳にははっきりと情欲の火が揺らめいていた。
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