代わりでいいから抱いてよ (Page 3)
秘処の中に入った彼の感覚。エリは少しの痛みを上回るほどの快感に、身をしならせる。
「あああん…っ!!」
これを求めていた。自らの肉の間を、他人が入り込んでくる独特の感覚。エリは自分で下半身を動かし、彼のものを深く咥え込んでいく。最奥に呑み込んでいくと、痺れるような甘い疼きを感じた。
「あっ…アズサ…そんな自分から…」
「だって…ほしかったんですもの…んんっ」
エリは両手をケンゴの腹につけ、腰を動かす。彼のそれをこするように上下に動き出すと、エリ自身からも声が出てやまない。ゆっくりと動いていたはずが、彼の太いそれがあまりに気持ち良すぎて、快感を得たくて、息が乱れるような激しい動きに変わっていく。
「あ…!あっ、あっ…んぅぅっ…!」
出し入れする時、ぐちゅぐちゅと蜜が擦れる卑猥な音が発せられる。彼の先端が最奥をぐりぐりとこするように腰を動かすと、もう昇天してしまいそうなほど気持ちよくて、身体が震えてしまう。
「もう…エロすぎだよっ…!」
「あんっ!!」
エリは腰を掴まれ、下から突き上げられた衝撃に、太ももの内側に電流が走った。このタイミングでの甘美な絶頂は予期しておらず、エリは快感に打ち震える。しかし下からの突き上げは、止むことはなかった。
「やっ!やあっ!ダメダメ…っ!!」
「こんなこといつもしないくせに…!こんなのズルいよアズサ…っ!」
「イッてるからぁ…!」
「きゅうきゅう…中締め付けてるからわかる!こんなことされたら、ボクだってもう…!」
余裕がないケンゴのぎらついた黒い目。秘処の中を締め付けながら、エリはまたも自分に襲い来る絶頂を感じ取った。激しい下からの突き上げに、もう自我など忘れてしまう。
「あああああっ…!!」
中に入ってる彼から、熱いものがこみ上げてきた。絶頂とは違うそれに、エリは途方もなく幸福感を感じた。
*****
(好きな人に抱かれるって最高なのね…)
エリはソファーで寝る彼を見て、満たされた気分だった。彼は達したあと、すぐに寝てしまった。いつも酒を飲んだら寝てしまう彼らしい。セックスできたのは、本当に奇跡だ。
(例え、私を見ていなくても…)
元々エリの恋は実るものではない。わかっていたから、無理矢理にでも触れたかったのだ。彼の寝ている横顔を見ながら、エリは幸福で満たされる。
今まで色んな男に抱かれてきたが、やはり彼は別格だ。婚約者と間違えて抱かれることができるなら、エリは喜んで身を差し出す。
「また抱いてね、代わりでいいから」
エリの声は、きっと彼に届かない。
Fin.
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