キスキスキスキスキ
勉強だけが取り柄だったわたしは大学に入って、初めて好きな人ができた。講義で会えるだけで、幸せだと思っていたが、次第に、わたしは先生の特別になりたいと願うようになる。そんなとき、泊まりがけのシンポジウムの募集がかけられ、わたしは参加を希望する。その日の夜、アルコールも入り、嘘の口実を作ってわたしは先生にキスをおねだりする。おねだりはエスカレートしていき、秘部への接触を許す。
初恋は遅いほうだった。
毎日のように勉強勉強と、勉強ばかりに熱心で、恋というものにあまり興味がなかった。
高校時代はもちろん、大学に入ってからも、彼氏などできたことがない。
そんなわたしの世界を変えたのが、大学2年のゼミ選択のときだった。
教壇の前に立って、はじめましてと挨拶をした大橋先生は、わたしの心をギュッと捕らえて離さなかった。
もちろんわたしは、先生のゼミを選んだ。
毎週火曜日、4コマ目。
わたしにとって特別な時間となった。
先生の講義は実技が多く、退屈もせず、おもしろい。
課外の研修も多く取り入れており、色んな世界を見せてくれる。
すごくいい先生で、そんな先生の講義を受けることができるわたしは、それだけで、幸福なはずなのに、
時たま、耳にする、
「1年の背の高いあの子、大橋先生のお気に入りだよね」
という心無いうわさ話が、わたしの心をズンと重くさせた。
そんな中、先生が隣の県に2日間の泊まり込みでのシンポジウムがあるから、後学のために参加しないか、とゼミの中で募集をかけた。
わたしは無意識の中、手を挙げていた。
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シンポジウムはつつがなく進行し、その日は夜を迎えた。
施設の大浴場を出た横に、アルコールを販売している自動販売機がある。
先生はその前に立って、100円を入れていた。
気づいてくれないかな、と思いつつ、ゆっくりと近くを歩く。
「おっ、遠藤じゃないか」
先生はちゃんと気づいてくれた。
「先生、今日はお疲れ様でした」
すると、先生はちょいちょいと手招きをした。
「遠藤は今日がんばってくれたからな、特別」
飲み物を奢ってくれるらしい。
「さっき他の奴らにも会って、タカられてなあ。遠藤は今日がんばってくれたんだから、遠藤にだけ買わないのも悪いだろ」
そういって、好きなものを1つ選ばせてくれた。
わたしはレモンサワーを選んだ。
かわいい。
続き希望。
匿名 さん 2020年5月13日