一度だけ抱いて、お兄ちゃん (Page 4)

互いに荒い呼吸を繰り返しながら、私はゆっくりと大和の上から退く。大和のモノが抜かれた瞬間、まるで寂しいとでも言いたげに私の中がヒクヒクと痙攣した。

「…真子」
「ふぅ。うん、満足した」

最後まで、好きだと言えなかった。

だけど、それでいい。

ほとんど乱れていない服を整えながら、私は立ち上がる。瞬間、中から溢れた大和の精液がとろりと太ももを伝った。

「ごめんね、無理矢理襲って」
「…なぁ、真子」
「嫌いになっていいよ、私のこと」

そんなの嫌だ。

本当は、好きだと言ってほしい。

名前を呼びながら抱き締めて、キスを交わして、二人で笑い合いながら体を重ねたかった。

絶対に、叶うことのない夢を見続けてきた。

もうこれ以上、大和を縛りつけたくない。

「大和が今まで彼女と長続きしなかったのって、私のせいでしょ?いつも、私を一番に優先してくれたもんね」
「なぁ、真子。俺はずっと…っ」

聞けない、その先は。

「じゃあ、私もう寝るね」
「真子、待てって!」

最後はせめて、笑顔を見せたい。

私の自分勝手な傲慢さで、優しいあなたを傷つけてしまった。

だけど、安心して。

私はもう、あなたの前から消えるから。

「おやすみなさい。お兄ちゃん」

にこりと笑って、部屋の扉を閉める。

その場で泣き崩れそうになるのを必死に堪え、私は玄関から外へ飛び出した。

大好きな人がどうか幸せになりますようにと、そう願いながら。

Fin.

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公開日:

感想・レビュー

1件のレビュー

一度だけ抱いて、お兄ちゃんのレビュー一覧

  • 切ない🥺

    続きが気になります。ハッピーエンドで結ばれますように。

    1

    mi さん 2024年1月20日

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