ストーカーの正体は優しい義兄だった。拘束されて激しく抱かれ続けた夜。

・作

私は、最近ストーカー被害に悩まされている。怖くて一人で部屋に居られず、義兄の裕介が来てくれて安心したけれど、あることをきっかけに裕介の様子がおかしくなって…。拘束されて、強引で怖かったはずなのに、気付けば自分からお願いして…。

私は、最近ストーカー被害に悩まされている。

一人暮らしを始めてから数日が経った。

最近、毎日何件も、特に残業や飲み会で遅くなるような日は非通知から大量の着信がくるようになった。

そして気のせいかもしれないけど、夜になると誰かにつけられてるか、監視されてる気がする。

それ以外の被害はないし、ただの悪戯だろうと気にしないようにしていた。

だけど今日は帰ってくると、ポストにこんな内容の手紙が入っていて、恐怖で崩れ落ちてしまった。

『最近帰りが遅いね。コンビニ食も増えたみたいで、無理して身体を壊さないか心配だよ』

『彼氏でもない男に、家まで送ってもらうのは感心しないな。男に安易に家を知らせるのは危険だよ』

家を特定されてるのも、生活を覗かれてるのも分かって怖くて堪らない。

怖くて一人で部屋に居たくないけど、もう大分夜遅い時間で、外に出るのも怖い。

私は、迷わず義理の兄である裕介に泣きついた。

*****

「梨花?…大丈夫か?うわっ…!」

チャイムが鳴ったと同時に、私は玄関の扉を開けて裕介に飛びついた。

「裕介ー!どうしよう、怖いよぉ…」

子供みたいにしがみついて泣きじゃくる私の頭を、裕介はやれやれ…と言った感じで撫でた。

裕介は私の二個上の兄。

とは言っても、親が再婚した時の連れ子同士で、血が繋がってる訳じゃない。

だけど、私が幼稚園の頃、初めて出会った時から頼りになって、いつも守ってくれる裕介のことを、私は昔から慕っていた。

「通報は?もうしたのか?」

「してない…。怖くてお風呂も入れないし、ずっと部屋の隅でうずくまってた」

しがみつきながらぐずぐず泣いていると、裕介は「お前なぁ…」と言って小さくため息をついた。

「まぁ、もう俺がいるし、怖がらなくて大丈夫だよ」

裕介はそう言って、しがみついて泣く私をそっと抱き寄せてくれた。

元々、何かあったら危ないからと、裕介の住んでいるマンションの近くなら…という条件で、親から許可がおりた一人暮らし。

だけどスーツ姿の裕介を見て、仕事で疲れてるのに真っ先に私のところに来てくれたんだなぁ…。と気付いて嬉しくなる。

本当にいつまでも、危ない時はすぐに助けに来てくれる。
頼れる大好きなお義兄ちゃん。

「梨花の好きな苺プリン買ってきたから、これでも食べて落ち着け」

裕介はそう言って、コンビニの袋を差し出した。

「えー!やったぁ!これ最近めっちゃハマってるの…!ありがとうー!」

プリンを見て笑顔になる私を見て、裕介は呆れたような笑みを浮かべた。

「とりあえず通報とか、盗聴されてないかとか一通りやっておくから、もう遅いし風呂とか済ませちゃえば?」

そう言われて、ハッと現実に引き戻される。

そうだ…裕介に会って、プリン買って貰って浮かれてたけど、ストーカーが怖いから来てもらったんだった。

「…そうだった!あがってあがって!」

「そうだったって…お前なぁ」

また呆れられそうで、私はそそくさとリビングに向かった。

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