偶然の出会いから始まる、名前も知らない年下アイドルとお風呂場で秘密の…♡
アイドル好きなOLの私。でも最近は仕事で忙しくて…たまたま怪我をしてしまった私に声をかけてくれたのはまさかのアイドル!?小さな勘違いから、あっという間に彼の家に行くことになっちゃって…優しく彼に「治療」されちゃう♡
あなたの趣味は何ですか?と聞かれたら、私は「アイドルの追っかけ」と真っ先に答える。
小さい頃にテレビで見る女性アイドルに憧れて、中高生の時には男性アイドルに本気で恋をしてた。
そんな私も気付けば20歳を過ぎ、毎日朝から晩まで働くOLに。
社会人になったことで、アイドルにかけられるお金は多少増えたけど、日々の仕事に追われて毎日クタクタにくたびれる生活。
最近はアイドルを追いかけることもままならない。
今日も仕事で駆けずり回ってヘトヘト。
「はあ〜」
帰り道、思わずため息がこぼれた。今日は特に忙しくて、何かの拍子に履いてたパンプスの踵が欠けてしまった。バランスが上手く取れず足がズキズキと痛む。
「痛っ…」
傍にあった電柱にもたれて痛む足を確認する。踵からはうっすらと血が出ていて、ストッキングにも滲んでいた。
「最悪だ…」
こんな痛い思いまでして仕事しているのに。趣味の時間も自分のための時間も無い。ましてや、こんな時に心配してくれる人も…
何だか自分が情けなくなり、つい目を潤ませていると。
ふともたれていた電柱に何かの張り紙があった。
「…?」
そこには、かわいいポップ文字で「アイドルコンサート」と、笑顔の男性アイドルの写真達。
(えぇ〜…こんな時に何だけど久しぶりにコンサート行ってみたいなぁ)
よく見てみると顔も名前も知らないグループ。
最近はアイドル追っかけてなかったから全く知らない。
そんな風に、自嘲にひたっていると、後ろから肩を叩かれた。
「すみません、大丈夫ですか?」
「えっ、はい、大丈夫です!」
突然の男の人の声にびっくりして、反射で返事をする。振り返るとそこには長身でスタイルのいい男性。
(え…脚長っ…)
「体調悪いのかなって思って…あ、足ですか?」
長身の彼はそのまま私の足元にかがんだ。
「あ、いえ…」
私はなんだか恥ずかしくて痛んでいた足を咄嗟に後ろに引っ込めてしまった。
「すみません、俺、気持ち悪かったですよね」
上を見上げた彼と下を向いた私の目があって、初めて彼の顔をまじまじと見た。
キラキラとした大きな目にスッと通った鼻筋。口角がきゅっと上向きでそれでいて小顔。
年は…大学生くらい?年下っぽく見える。
こんな顔、まさに…
「アイドルじゃん…」
「え!?」
思わず心の声が漏れてしまったけど、今度は彼が慌てて顔を隠した。
「お姉さん、俺のこと知ってるの?」
全部良かったですね❗️選べません
鈴木多美子 さん 2022年7月19日