その指輪を外すとき (Page 6)
「さっき胸だけでも感じてたから、こうしたらどうなっちゃうのかな…」
隆也くんは腰を動かしながら、両手で乳首を弄り始める。
乳首を摘まれた瞬間、更なる快感が全身を駆け巡った。
「んんんっ!あ、だめっ…だめぇ…」
「ダメって言いながらもすごく感じてるじゃん…」
「隆也、くん…だめ…私、もう、イッちゃう…」
「我慢しないでイッていいよ」
さらに乳首を摘む力は強くなり、腰を動かすスピードも一段と早くなる。
「あ…あぁ…んん…い…ぁ…イクっ…!はぁ…はぁ…」
「奈緒さん、綺麗だよ…。自信を持って…」
「そんなっ…んっ…隆也…くんっ…」
まだ私でも、大切に扱ってもらえるなんて。
女としての喜びを味わえるなんて…。
旦那から別れを告げられた時は、もう私の人生なんて終わったと思ったのに。
「もうぐっちゃぐちゃになって、嫌なことなんて全部忘れなよ…」
*****
それから彼と何回エッチしたのかは覚えていない。
私達は朝になるまでお互いの体を求め合ったのだ。
32歳になった私が、何回もエッチが出来るほどの体力が残っているなんて思いもしなかった。
そして気が付けば、過去の嫌なことなんてすっかり忘れている自分がいた。
今は、ただ開放感だけが私の中に残っている。
「これ、俺の連絡先」
「え?」
一夜だけの関係じゃないのだろうか?
「たまに発散したくなったら何時でも連絡してよ」
私は隆也くんからもらった連絡先をそっと自分の鞄へしまった。
今は新しい恋愛なんてする気はないが、気が変わる日もあるかもしれない。
また誰かと恋をするのか、結婚をするのか。
それとも侑美のように1人で自由を楽しむのか。
どちらにせよ、私はもう自由だ。
縛るものも、誰かに合わせることもない。
外せずにいた結婚指輪…。
今度はちゃんと処分しよう。
新しい人生をスタートをさせるために。
Fin.
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