その指輪を外すとき (Page 3)

「ど、どうしました?」

「お2人とも綺麗ですね。良かったら一緒に飲みませんか?」

「えっ…?」

「いいじゃん!いいじゃん!一緒に飲もうよ〜!」

私の意見を聞かずに、侑美は食い気味に話に乗る。

そして私の耳元に近付くと、小さい声で耳打ちしてきた。

「これはチャンスだよ。こんなイケメンと飲めることそうそうないって!」

「で、でも…」

「飲むだけだったらいいでしょ!」

「わ、わかったよ…」

侑美に流されるまま、私達は声を掛けてきた青年達と一緒に飲むことを決めたのだった。

*****

それからのことは正直あんまり覚えていない…。

彼らとどんなを話したのかも、彼らのことをどれくらい知ったのかも…。

そしてなぜ私は今、ホテルに居るのか…。

「大丈夫?」

どうやら私は少し寝てしまっていたようで、目を覚ますと、そこにはさっきまで一緒に飲んでいた青年が立っていた。

確か名前は…。

「おーい、奈緒さん?ちゃんと俺のこととか、何でここに来たのか覚えてる?」

「えっと…ごめん…。ちょっと頭がぼーっとしてて…」

私は必死に記憶を遡る。

確か…彼の名前は隆也くん。

年齢は25歳だった…はず…。

「これ、飲みなよ」

隆也くんは冷蔵庫から水を取り出すと、私の所まで持ってきてくれた。

「ありがとう…」

「どうする?俺から誘って、奈緒さんもいいよって言ってくれたからここまで来たけど、やっぱり帰る?」

「えっ!?」

「無理矢理するのも違うし…」

「えっとね…その…私、32歳だし、バツついてるし…だからこんなおばさん…」

私は早口になりながら自分のことを説明した。

彼としたくないわけじゃなくて、後からそのことを知ってガッカリされるのが怖いのだ。

しかし隆也くんは驚いたり、引いたりもせず、ただ私のことを真剣な瞳で見つめてくる…。

「奈緒さん」

「は、はい…」

「その話、もう聞いたよ」

「えっ…」

「奈緒さん酔ってて覚えていないのかもしれないけど、バーで自分から過去の話してたよ」

「嘘!?恥ずかしい…」

「俺、それでもいいから誘ったんだけど…」

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