その指輪を外すとき (Page 2)

侑美との約束の日―。

私は白のブラウスにグリーンのパンツを履いて、さらに耳元や首元にはキラキラと輝くアクセサリーを着けて待ち合わせ場所へと向かった。

こんなにオシャレをしたのはいつぶりだろう…。

ずっと外せずに居た指輪も、今日はもちろん外してきた。

それだけで不思議と心の重りがなくなって、自由になれた気がする。

この調子で彼のことも忘れられたらいいのに…。

「あれ?奈緒?今日は一段と綺麗だね!んー、元旦那と別れたおかげかな?ほんと、あんな奴別れて正解だよ!」

「もー侑美ってば!」

冗談交じりでも親友から褒められたことが嬉しくて、少し照れてしまう。

もちろん侑美もいつも通りオシャレで、煌びやかだった。

年齢を言わなければ、まだ20代に見えてもおかしくない。

「さて!じゃあ噂のバーに行きますか!良い男居るといいな〜!」

私はドキドキしながら侑美の後ろをついていく。

待ち合わせ場所から15分程歩いた所に、目的のお店はあった。

その店の周辺は薄暗く、人通りも少ない。

女性が1人で来るには勇気がいる場所だ。

侑美に教えてもらわなければ、自分からこんな所へは来ないだろう。

私達が店のドアを開けると、1人の若い女性スタッフが私達を案内してくれた。

案内されながら、チラッと店内を見渡してみたが、どうやら客は私達の他に2〜3組しか居ないようだ。

本当にここが出会いの場なんだろうか?

パッと見、普通のバーにしか見えなかった。

「いらっしゃいませ。最初のお飲み物は何がよろしいでしょうか?」

「私はジンフィズで」

「えっと…じゃあソルティドッグで…」

しばらく待つと、マスターが私達の目の前にカクテルを運んでくれた。

「じゃあ、奈緒の新しいスタートを祝してかんぱーい!」

「かんぱーい」

私達はお酒を飲みながら、積もりに積もったそれぞれの話をし始めた。

久しぶりに会ったからなのか、お酒のせいなのか、私達の話す勢いは止まらない。

そして乾杯をしてから1時間程で、私達はすっかり酔いが回っていた。

私も侑美も頬を赤くして、呂律が回らなくなっている。

「私はねぇ…奈緒にね、幸せになって欲しいんだよぉ…」

「そんなに思ってくれてありがとうね」

「あのぉ〜」

すると急に2人組の男性が私達に話し掛けてきた。

彼らは、私達が来る前からお店に居た客の1組だ。

通り過ぎただけだったため、全然顔を見ていなかったが、よく見ると2人とも顔が整っていて、若い…。

恐らく20代前半くらいだろう…。

そんな彼らが、一体私達に何の用だろうか?

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