ほんとうの、居場所って (Page 4)
「ずるずるとどうしようもない旦那にすがりついて、傷ついたらあたしのとこ駆け込んで…。不毛だよ」
「分かってる」
「どうわかってるの?」
「今日は決めて来たの。私、離婚する。離婚してひとりで生きていけるよう頑張る。結婚なんか、男との暮らしなんて無理ってわかった。旦那が浮気してなくても無理だったのよ」
「泣き虫の貴美子が自立なんてできるのかねえ」
挑発的な紀香の言葉。
涙がこぼれてくる。
世間体という得体のしれない重圧に負けて女同士の関係から逃げたけど、でもやっぱり私には紀香しかいない。
「すごく勝手な話だけど、もう一度紀香とやりなおしたいの。そのためならがんばれるわ」
「泣き虫の貴美子にやれるもんかね。世間は厳しいよ?」
「好きな人におしっこ漏らすとこ見られたのよ。もう怖いものなんてないわ」
私は泣きながら笑った。
紀香も笑っていた。
紀香は私を抱きしめ言った。
「帰ってきてくれるんだね。貴美子」
「ごめんね紀香。もう離れないから」
私は紀香を抱きしめ返す腕にぎゅっと力を入れる。
Fin.
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