異世界に転生したらエルフの王子様に恋した件 (Page 2)

この世界に来て何度目かの満月を迎えた。
私は大分エルフの城に馴染み、クレシアスの部屋で毎晩お茶を飲むのが日課になっていた。

「エルフって、どのくらい生きられるの?」

「寿命はありませんが…そうですね。肉体を激しく損傷したり、生きることを諦めると魂が肉体を離れてしまいます」

「寿命、ないの?」

「人間は100歳まで生きる方は稀ですよね。私たちエルフにとって100歳は子どものようなものです」

「クレシアスって、いくつなの?」

「何歳に見えますか?」

クレシアスがじっとわたしを見つめる。
恥ずかしいけど、たまらなく好きだ。
彼が私だけを見てくれるから。

「300…500?」

「美優、適当に言っても当たりませんよ?」

「私は25歳だよ」

「おや、近いですね」

「えっ!そんなに若かったの?」

「250歳です。ね、近いでしょ?」

嬉しそうに笑うクレシアス。
釣られて私まで微笑んでしまう。

「250歳って成人?」

「そうですね。人間で言うと結婚適齢期でしょうか…」

「結婚?クレシアスは結婚するの?」

「お相手が居ないとできないですね」

「居ないの?」

「大事な人が居るのに、寝室に女性を招くような男だと思いますか?」

「あっ…それもそうか…」

よく考えると、2人でお茶を飲んでいるテーブルの横には大きなベッドがある。
ここは寝室でもある訳で。

「ん、でもそれって」

「何でしょう?」

「私、ここで毎晩お茶を飲んでるけど」

「そうですね。この間は明け方まで2人で話をしていましたよね」

「それって、良くなかった?」

「仲睦まじくて良いですよね」

「それってそっちの意味でよね?」

耳が熱くなる。

「そっちとは…?」

「寝室で仲良くしてるって…」

「そうですね。『毎晩愛し合ってて素敵だな』って他のエルフには思われてるでしょうね」

こともなげにクレシアスは言った。

「えっと、私は良いんだけど」

「私も気にしませんが?」

「それってどういう…」

心臓の音が聞こえてきそうなほど鼓動が早くなる。
落ち着け、私。

酸素が足りない。
圧倒的に。

「誰にどう思われても、美優と過ごす時間が大切です」

「私もだけど…」

綺麗な瞳がじっと私を見つめる。
整った顔が、近づいてきて。
耳元でそっと囁かれた。

「これからは、毎晩愛し合いましょうね」

「えっ!?」

ビックリしてクレシアスの方に顔を向けたら、唇に温かい感触がした。

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