羊の皮を被ったお兄ちゃんにイケナイところを舐められちゃいました (Page 2)
「っていってもさぁ、今日で二十歳じゃん。ついにできちゃうんじゃない?初えっち」
完全に面白がりつつも話を聞いてくれるのは、同じ大学の女友達である。
私と違って初体験をさっさと済ませている彼女は、私と准ちゃんの話を少女漫画か恋愛モノのドラマを楽しむように聞いているのだ。
癪には触るが、さすがに百戦錬磨な恋多き女子なだけあって、そのアドバイスは参考になる。ネタにされるとわかってても、こんな話ができる友達は彼女くらいだ。
「そうなの。というか、今日こそは手を出してもらわないと、次は成人式を迎えてからとか両親に挨拶してからとかいいだしそうだし…」
「あー、ありそう。もしくは結婚してからじゃないと~とかね」
「そんなこといったら、婚姻届をその場で叩きつけてやるわ」
鼻息荒く宣言すると、友達は笑って「でも、いいじゃん」と私を宥めた。
「そんだけ大事にされてりゃ、めっちゃ優しく抱いてもらえそう。しょっぱなから変なことさせられたり、無茶なことさせられたりしなさそうだし、そのへんはちょっと羨ましいよ。結構相手選びから失敗するパターン多いんだから」
彼女のいうこともわかる。痛かったとか、全然気持ちよくなかったとか、怖かったとか、いろんな意見を聞いてきたし、それらの情報に慄(おのの)いていた時期もあった。
だが、だがしかし。
「そうね、抱いてさえもらえりゃね!」
「それ以前だもんね~。色仕掛けもダメ、乗っかってもダメ、お誘いしてもたしなめられると来たら、普通は諦めるわ」
「顔真っ赤にして『ダメだよ』っていわれて、諦められるか!」
「どこの萌キャラだってのよ、あんたの彼氏」
友達は鼻で笑うが、正直おっしゃるとおりである。
好きだって思ってもらってる。大切にされている。誘惑してみるときっちり勃ってるし、反応がないわけじゃない。
弱々しく『ダメだよ…』っていわれて止まれないのは男だけじゃないのに、最後には男女に力の差で何もさせてもらえないまま終わるのだ。
それも、理由が『年の差があるし、きっちりと誠意を見せたいから』とくれば、私だって無理強いはできないししたくない。その気持ちが嬉しくないわけじゃないから。
だが、その我慢も今日で終わりだ。
「最初に二十歳になるまでっていったのは向こうだからね…言質は取ってるんだから、絶対にヤッてやる…」
「ほんと、立場逆転してんじゃない?ってくらい肉食彼女と草食彼氏よね、アンタたち」
友達は楽しそうに、にやっと笑った。
「おし、じゃあ悩める月子にぴったりな誕生日プレゼントをあげちゃおう」
いいつつ渡されたのは、彼女が愛用している下着ブランドの紙袋である。
「意外と彼氏も、今日ばっかりは期待してるかもよ?」
自信満々にサムズアップされるが、私は「そうかなぁ」と首をかしげるばかりである。
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