年下の俺様ホストに美味しくいただかれちゃった件 (Page 4)
「みぃちゃん、おはよ」
いつの間にか寝てしまった私は、京也の声で目が覚めた。
顔をあげると、整った顔が目に飛び込んでくる。
「今…何時?」
「12時だから、結構寝たかな」
そう言いながら、京也は私を抱き寄せた。
ビックリするほどグッスリ眠ってしまったらしい。
「お腹すいたね何食べたい?」
「京也、仕事は?」
「俺、ヘアメに18時くらいには行きたいかなぁ」
「ヘアメ?」
「そうそう、ヘアメイク。お店に行く前に着替えて、ヘアメに行かないと」
(こんなに整った顔でも、髪の毛をセットしてメイクするんだ…)
「お家近いの?」
「こっからだと駅の反対側だから…歩くとちょっと距離があるかな。みぃちゃん、歩ける?」
「えっ、いや歩くのは構わないけど」
(歩けるって、一緒に行くってこと?)
「ん~時間もったいないなぁ。タクシー乗って、俺の家でご飯食べようか」
「お邪魔して良いの?」
「良いよ。冷蔵庫空っぽだけど」
「じゃあ買い物しなきゃね」
動揺を悟られないように会話を続ける。
京也にとっては大したことじゃないんだ。
女の子をナンパすることも、抱くことも、部屋に呼ぶことも。
「みぃちゃん」
京也はじっと私を見つめている。
「なぁに?」
熱い瞳に気が付かないふりをして、少し鼻にかかった声で返す。
「俺、仕事終わったら、まっすぐ帰るから」
「ん?」
「まっすぐ帰るからさ、良い子で待っててね」
ドクン。
と大きな音を立てて、心臓が跳ねた。
「待ってて…良いの?」
「どうしてダメなの?俺が良いって言ってるのに」
「いや、ほら、だって…」
「みぃちゃん、一人で待つの寂しいタイプ?」
「そうじゃないけど」
駆け引きなのか、天然なのか。
こういう所もきっとお客さんには魅力に映るんだろう。
「じゃあ、決まりね」
私の小指に、京也の小指が絡まる。
「みぃちゃんは、俺のもの」
「えっ?そんな約束…」
「今、したからね」
こうして、少し強引な王子様と私は、お互いを思いやる関係になったのでした。
京也が元気になっちゃって、ベッドから出るのにさらに時間が掛かったのは、また別のお話。
Fin.
推しにキャラ似てて好き。(笑)
じゅり さん 2021年9月4日