地味OLの秘密の合コン (Page 2)
「大丈夫?どこかで休憩する?」
「いや、大丈夫です…」
一刻も早く帰りたい私は弱々しく笑った。
「結構フラフラしてるけど、電車乗れる?」
「はい…」
そう返したけど正直不安。
「嫌じゃなかったら家までタクシーで送るけど」
思いもよらない提案に一瞬固まる。
「え、でも」
「玄関先まで送り届けたら帰るし、駅で別れて何かあったら後味悪いから」
お言葉に素直に甘えることにした。
自宅を知られることよりも、家に無事に帰れるか分からない不安が勝った。
タクシーに乗り込むと、座れた安心感と心地良い揺れで、私はいつの間にか眠っていた。
*****
目が覚めたら自室のベッドにいた。
私、寝ちゃったんだ。
何してるんだろう、緊張して悪酔いして、情けないな。
落ち込んでいると
「あ、目が覚めた?大丈夫?」
吉田さんの声がした。
一気に酔いが冷めて顔をあげる。
「勝手に鍵開けて運ばせてもらったよ。はい、お水」
フリーズしつつも、彼からグラスに入った水を受け取る。
「ごめん。このまま帰ると鍵開いたままになっちゃうから」
「すみません…」
恥ずかしくて俯きながら水を飲んだ。
「相澤さん、あんなに楽しそうに笑う子だったんだね」
吉田さんはあまり気にしていない風に話題を変えた。
「普段はあまり余裕がなくて」
「俺らの部署、忙しいもんな」
フォローするように話してくれて正直嬉しかった。
「あのさ、良かったら連絡先交換しない?」
「は、はい」
「やった!時々連絡しても良い?」
私は頷き、スマホを探す為ベッドから降りようとした。
「あっ!」
酔いが覚め切らない身体は思うように動かず、つまずいてしまう。
「大丈夫?」
支えてくれた吉田さんに超至近距離で見つめられた。
腰を支える腕に力が入り、引き寄せられる。
ドキドキしたまま無言で見つめ合う。
「ごめん…」
困ったように呟き、彼の顔が迫ってくる。
お互いの息が分かるくらいの距離。
私は拒絶しなかった。
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