地味OLの秘密の合コン
相澤美織は、激務から職場では快適性を重視した地味な格好を選んでいた。休日の華やかで可愛らしい見た目とのギャップに、彼女の同期で友人の梓は、社内での誤解をもどかしく感じていた。「恋人が出来れば平日も楽しく過ごせるかも」と合コンを提案する。乗り気ではない美織が参加するとそこには、同じ部署の吉田卓司が同席していてー。
お洒落と無縁の見た目から入社4年目で「地味で残念な子」というレッテルを貼られた。
別にいい。
お休みの日にお洒落を楽しんでいるから。
「あんた可愛いのに、なんで仕事の時はあんなに地味なの?」
同期の高梨梓が不思議そうに聞く。
彼女は部署もフロアも違うけど仲良しだ。
今日も二人でカフェにお出掛け中。
「だって、忙しいし。残業も多いから楽な格好じゃないとしんどい」
私は指先に施されたネイルを見つめながら答えた。
「でもさ、絶対周りの印象変わるよ。地味で生意気な奴って一部から思われてるの勿体ないよ!」
仕事はあくまで生活費だ。
休日を思いっきり楽しむ為の。
人見知りと緊張で、淡々と接してしまい、一部の人間から良く思われていないのは気づいていた。
「職場で良い人と出会えるかもしれないのに。彼氏欲しいんでしょ?」
フラペチーノを飲みながら梓に質問される。
「そうだけど…忙しいし、時間ない」
私が口ごもっていると、梓がニヤッと笑った。
「仕方ないなぁ。そんな奥手でお堅い美織のために、一肌脱ぎますか」
「え?何するの?」
「合コンだよ!出会いの定番でしょ!」
「え…い、いいよ。私そういうの苦手だし」
「素敵な彼氏をゲットしたら会社も楽しくなるって!とにかく決定だから」
半強制的に合コン参加を決定されて、その日は解散した。
*****
帰宅後、梓からラインが来ていた。
合コンは来週の土曜日。
梓の彼氏が友達を集めてくれるらしい。
「何だか今から緊張してきた…」
私は深くため息をついた。
合コン当日。
いつもより入念に準備して指定されたお店へ向かった。
「あ!美織遅いよ~!」
手招きする梓の隣に座り、向かいの男性陣に会釈する。
と、私はそこで固まった。
同じ部署の同期、吉田卓司が正面にいる。
私のことをポカンとした顔で見ていた。
「どうせ美織、人見知りして大人数だと話せないと思ったから4対4にしたよ」
「なんで吉田さんがいるの…」
小声で話す私に梓は呑気に笑った。
「偶然だよ!彼氏の友達だったみたい。世の中狭いよね」
吉田さんとはほとんど話したことがない。
地味な女が休日は派手な格好で男と遊んでる。
そんな風に思われてないかな。
「相澤さん、普段と全然印象違うからびっくりした」
話しかけてくれた吉田さんに曖昧に笑う。
*****
緊張でお酒が進み、酔っぱらった私は、二次会は遠慮すると伝えた。
そんな私に吉田さんが近づいてきた。
「相澤さん、そのまま一人で帰るのは危ないよ。駅まで送る」
そう言うと梓達にお礼を言い、私を連れ出した。
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