気持ちのない性生活を癒やしてくれたのはあなただった
自分本位で前戯すらないセックスをする夫に、身も心も満たされないあきこ。そんな時は図書館で好きな本を読む。ある日、本を借りたのに図書館に忘れてしまうあきこ。取りに行くと、閉館しているのにあきこを待つ男性スタッフがいて…!?
私の夫は40歳にして性欲が強い。
結婚して12年になるというのに週に3回はセックスをしている。
拒みたくても拒んだらケンカになりそうで、誘われると我慢してでもセックスをする。
性欲がないわけじゃないし、セックスが嫌いなわけでもない。
夫のセックスは求めてくるくせに淡白で、自分本位だ。
自分が気持ちよければそれでいいと思ってる。
前戯なしの挿入なんてあたり前。
気持ちなんて何もこもっていない。
感じるセックスをしたのはいつが最後だろう。
思い出せない…。
*****
夫とセックスをした翌日は、本を読みに近くの図書館へと足を運ぶ。
身も心も満たされなくてモヤモヤするからだ。
私は本が好きで、読んでいると心が穏やかになる。
集中できるし、嫌なことを忘れられる。
そして何より図書館の静かな空間がとても好きなのだ。
図書館で本を読んだあと、最後に本を借りていく。
週に何度も来ているので、1人の男性スタッフと仲良くなった。
仲がいいといっても、本について少し話す程度だけど。
この日も借りた本に対して
「この本、俺も読みました!かなり面白いですよ。主人公が最後に…」
「いわないで!」
「あっ!失礼しました…」
フフッと笑ってしまった。
この男性スタッフは20代後半くらいだろうか。
整った顔立ちに眼鏡が映える。
真面目そうに見えて、話すと人懐っこくて笑顔が可愛くて、年甲斐もなく胸がキュンとしてしまう。
10歳くらい年下の子にときめいてどうするの!って思うけど、その子と話すのが楽しみになってる自分がいる。
浮気してるわけじゃないし、それくらいいいよね…?
帰る前にお手洗いに行こうと思って、借りた本は一旦机の上に置いた。
しかし、本を忘れて帰ってしまった私。
気づいた頃には閉館時間を過ぎてしまっていた。
急いで図書館に戻ると、閉まっていると思ったがドアは開いていた。
電気も点いていたが、いつにも増して静まり返っていた。
誰もおらず、スタッフも見当たらない。
「し、失礼しまーす…」
本を置いた机に向かう。
しかし本はなくなっていた。
片されてしまったのかと諦めて帰ろうとした時、
「お探しものはこれですか?」
そこには眼鏡の男性スタッフがいた。
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