愛のない結婚をした私を助けてくれたのは夫の秘書。やがて結ばれた二人は禁断の不倫旅行へ。決して結ばれることのできない相手だけど、身体は彼を激しく求めてしまって…。
私は夫の秘書と関係を持ってしまった。歳の離れた夫とは違い、同年代のその人は優しく私への愛に溢れている。夫は愛人を囲っているが、秘書は私だけを愛してくれる…。その愛と、若い男性らしい激しい愛撫に夢中になって、私はどんどん深みにはまっていく。これが禁断の恋であることはわかっている。それでもなお、私の身体は淫らにあの人を求めてしまう…。
真っ赤な葉っぱが、はらり、と庭の池に落ちていく。
庭園をしつらえたこの高級旅館。
私は給仕さんに淹れてもらったお茶を、ひとくち、ゆっくりと口に含む。
夫は、私がここに来ていることなど知らないだろう。
後日問い詰められたとしても、女友達と気晴らしに出かけたのだといえばいい。
運転手にも固く口止めをしているし、充分すぎるほどの心付けを手渡しているのだから。
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私の夫は、地元ではちょっとした有名人で、権力も富も得ているにも関わらず、今度は若い妻を迎えることを望んだようだった。
親子ほど年の離れた私の実家へやってきて、嫁入り支度として多額の金を置いていった。
世が世なら結構な身分だったという私の家だが、今となっては名ばかりで広大な屋敷を維持するのにも苦労している。
そんなとき、娘の私が大富豪から求婚されて、両親はすっかり有頂天になってしまった。
喜び溢れる両親の前で申し込みを断れるはずもなく…
嫌々ながらに結婚し、もう三年の月日が経ってしまった。
夫は最初の頃こそ私の若い肉体を弄んでいたものの、半年も過ぎるとすっかり飽きてしまい、今では何人か愛人を囲っている。
打ち捨てられた私に唯一優しくしてくれたのは…夫の秘書の賢一さんだった。
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賢一さんは、年頃も私と同じくらいで、夫とは違ってとても誠実な、純真無垢な男性だ。
あれこれと気を遣ってくれる彼と接するうちに…私は恋に落ちていた。
賢一さんも同じ想いだったようだ。
やがて私たちは夫の目を盗んで結ばれ…そして、あろうことか二人だけで旅行にやってきたのだった。
私の部屋で性急に済ませてしまう秘め事だけでは足りない。
もっともっと、賢一さんを感じていたいのだ。
「奥様…なんだか夢のようです」
窓の外を見つめている私を、賢一さんが後ろから抱きしめてくる。
背が高く、すらりと痩せているのに、私を抱きしめる力は驚くほど強い。
すでに賢一さんの下半身は熱を帯び、私の臀部にそれを押し付けてくる。
私は彼の硬くなったものに触れ、下から上にそっと撫で上げた。
よかった
切なくてよかったです。最近メルノベさんの作品、誤字脱字も減って読みやすくなって嬉しい
るる さん 2021年4月14日