ただ、抱かれたいだけの夜もある

・作

長く交際していた彼氏にフラれた私。すべてがどうでもよくなっていて…。投げやりな気持ちで登録したマッチングアプリ。ただ寂しさを紛らわしたくて、出会った男性といきなりホテルへ向かった。女だって、ただシたいだけの夜もある。

「初めまして、タカヒロです」

『初めまして、サナです』

昨日たまたまテレビに出ていたアイドルの名前を使い、デタラメな自己紹介をした。

二年交際した彼氏から突然の別れを告げられた私は、投げやりな気持ちでマッチングアプリに登録した。

タカヒロはアプリでマッチングした男性の中の一人。

年も近く、私好みの甘いルックス。

住んでいる場所も近くて、マッチング成立からこうしてすぐに会うことが叶った。

タカヒロという名前が本名か偽名かなんてわからないけれど、そんなことはどうでもよかった。

私の目的はただひとつ…。

「このアプリ、ヤリモクしかいないけど、それわかってて使ってるの?」

『うん。そのつもり』

「そっか。じゃあ話は早いね。ホテルいこっか」

寂しさで心に空いてしまった穴を、意味のない身体の繋がりで埋めたいだけ。

出会ったばかりのタカヒロと吸い込まれるように近くのラブホテルへと向かった。

部屋に入るなり、タカヒロは私の顔を覗き込んで、そのまま唇を奪った。

キスは次第に激しく、深くてクラクラするようなものに変わっていく。

唇の隙間から漏れる甘い吐息。

『ん…ぁ…っ』

唇が離れると、お互いの熱い視線が交わりあった。

それが合図だと言うように、私をお姫様抱っこで軽々と抱え上げるタカヒロ。

そのまま綺麗にメイキングされたベッドへと連れていかれ、甘い時間の始まりを告げた。

「服、邪魔だね」

クスリと笑うと、私の身に隠す服を一枚一枚丁寧に脱がしていく。

会ったばかりの男性に素肌を晒す…。

求めていたとは言え、羞恥心は拭いきれない。

私の肌はほんのりと桜色に染まっていった。

私の服を脱がしきると、彼も自らの服を脱ぎ捨て私に覆い被さった。

「綺麗だよ、サナ」

チュッと首筋にキスを落とし、大きな手のひらで胸を包み込み優しく揉み始める。

頂きにある突起をキュッと摘み上げられると、思わず甘い声が出た。

『…ぁ…や…やぁ…っ』

久しぶりに男性に触れられる感覚に、身体が熱を帯びていく。

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