いい旅、いいお湯、いいオジサマ?
バイト先の先輩に近くの温泉地のクーポンをもらい、一人でやってきたみゆき。旅館でイケメンのおじさまと目が合い、胸がときめく。温泉につかった後、中庭を散策してたら、目があったおじさまと会って…。巧みな言葉責めでとろけちゃう
「みゆきちゃん、温泉のクーポン券いらない?ちょっと忙しくて期限切れちゃうから、もらってくれると嬉しいんだけど」
「え、マジですか?温泉大好きです。ありがとうございます」
バイト先の先輩がくれたクーポン券はわりと近い温泉地にある旅館の割引クーポン。一人ぐらいどうにでもなるもんで、混んでたけど予約もできたし。先輩には何かお土産買わないと。
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賑わう声、お土産屋さんの呼び込みの声、ソフトクリームを食べ歩きする女の子や子供達、温泉地って感じだよね。思い切って一人旅にしたけど、一人旅も悪くないな。何か目覚めてしまいそうだ。
旅館で一度荷物おこうと思って、予約した旅館に向かう。宿帳に記帳して、ふっと視線を上げると一人の男性と目が合った。イケメンのおじさまだった。かすかに微笑まれ胸がどきんとした。軽い会釈と共にさっさとおじさまはさって行ったけど、胸のときめきはなかなか収まらない。
「お部屋ご案内しますね」
「は、はい」
仲居さんに声を掛けられ慌てて返事する。ご飯の時間とお布団敷く時間を聞かれ、温泉の説明を軽く聞いた。
「当旅館には自慢の中庭がございまして、散策も自由ですので是非」
「わあ、絶対に行きます」
仲居さんはにこっと笑って仕事に戻って行った。荷物を置いて浴衣に着替える。ちょっと早いけれど温泉行こ。温泉好きとしては一泊するんだったら三回はつかりたい。
貴重品とこまごましたものをもって部屋を出て鍵をかけた。
温泉の泉質は控えめに言って最高だった。一回つかっただけで手足の先まであったまった。肌もつるっとした気がする。髪を乾かし、ヘアゴムとバレッタでまとめる。
夕暮れ時、まだ時間あるし中庭散歩行くかぁと思い旅館の案内図を見て中庭に出る。中庭はちゃんと何足か下駄がそろえておいてあり、部屋から履いてきたスリッパを脱いで下駄を履く。歩くたびにからころと下駄が鳴るのが面白い。
「おや、かわいらしいお嬢さんだ」
後ろから声を掛けられ振り向く。さっき目があったおじさまだ。
うちのお父さん(46歳)と同じぐらいかな?しゃんとした背筋、柔らかい声、温泉に浸かってきたのかオールバックだった前髪は下りて、浴衣を着ている。黒々とした髪はさらに年齢をわかりにくくさせた。
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