彼氏に浮気されて落ち込んでいると、元気づけたいと後輩が飲みに誘ってきて終電を逃してしまったあの日

・作

大学生の莉央(りお)は、付き合って4ヶ月の彼氏に浮気されて人生最悪に落ち込んでいた。するといつもは少し無愛想な後輩の健斗(けんと)から元気づけたいと飲みに誘われて…「ずっと先輩が欲しかった」普段は見せない後輩の顔にドキドキが止まらない…

「莉央先輩、大丈夫ですか?」
「うん…ありがとね、連れ出してくれて」
「…それくらいしか、僕にはできないですし」

テーブルに届いたジャスミンハイを口に運ぶ。

「はー、やっぱ別れるしかないのかな~…もう好きかどうかもわかんないし、別れた方が絶対いいってわかってるのになんでか離れられないの」

お酒も回ってきて、いつもより饒舌になる。後輩に何話してるんだろうと思いながら冷たいジャスミンハイを喉に流し込み続けると、健斗が私の手を軽く叩いた。

「莉央先輩、飲み過ぎじゃないですか?気をつけてください」
「ねー大丈夫だよ?健斗くんよりだーいぶ飲みの経験あるからね!」
「…いつも飲み会でも酔いすぎですけどね」

健斗くんは私の話を黙って聞きながら、ゆっくりと緑茶割りを啜っている。
調子に乗ってしまったのか、顔がどんどん熱くなって自分が酔っ払っていると悟る。

「健斗くん、やっぱ私酔ってるや」
「知ってます。家どこでしたっけ?」
「家…まだ一応彼氏と同棲中だから帰りたくない」
「…そう言われても僕困るんですけど」
「ねーお願い、今日は夜中まで付き合って」
「いまそんなにベロベロで夜中も飲めるわけないじゃないですか」

なだめるように健斗くんが水を差し出す。

「莉央先輩、お家どの辺ですか?」
「…健斗くん、意地悪」
「はいはい、なんとでも言ってください」

健斗くんが小さく手をあげて店員さんにお会計をお願いする。

「ねえでも健斗くん」
「なんですか?」
「もう終電なくなっちゃった」
「え?」

今日は元から帰りたくなくて、終電の時間を聞かれた時に嘘をついて遅めの時間を伝えたのだ。

「ごめんね健斗くん」
「…今日僕の家から近いこの駅を指定したのもわざとですか?」
「…そうって言ったら怒る?」
「呆れますよ」

健斗くんはそう言いながら、お会計を済まして私の荷物を手に取った。

「いくらだった?」
「今日はいいです。莉央先輩が可哀想だから慰めに来たんで」
「おうち帰るの?」
「…それ以外にどうする気でいるんですか?」

*****

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