同級生からの誘惑

・作

小学校の同級生だった東条愛良と宗田幸太は16年ぶりに再会した。しかし、愛良は事情がり整形手術で顔を変え名前を九条美咲に改名している事から幸太に気づかれていないようだった。何度目かの時、愛良こと美咲はわざと幸太にぶつかって「お詫びをさせて」と言ってホテルへ誘った。そのままホテルへ向かった2人は?

「ごめんなさい、ぼーっとしていて」
 
 バスルームから出てきてまだ濡れている長い黒髪をタオルで拭きながら歩み寄ってくる美咲。
 艶のある白い肌にマシュマロのような柔らかそうな胸に谷間は、見ているだけで吸い付きたくなる。だが、見つめられる切れ長のきつい目はどこか悲しみを押し隠しているようにも見える。
 ほっそりとした体のラインに、見える脚は綺麗で細くて長い。

「いや、僕の方こそ」

 照れながら笑いを浮かべた幸太。
 一見クールな目元が俺様的な印象を受けるが、声は優しく仕事帰りのスーツ姿ではあるがかなりの長身でスラっとしているルックスはモデル顔負けである。

「あなたも入ったら? 」

 黒髪をさりげなく片耳にかけながら美咲が言った。

「じゃあ、ちょっと待っててね」

 そのままバスルームへ向かった幸太を横目で見ながら、美咲は怪しく笑いを浮かべていた。

 ソファーに腰かけるとタバコを吸い始めた美咲。

 ゆっくりとタバコを吸っている美咲はどこか遠い目をしていた。
 タバコを吸っている姿を見ると、どこかのキャバ嬢や風俗嬢のような雰囲気を漂わせているが、清楚な雰囲気から見るとそっちの世界の人間ではないようだ。

「全然気づいていない…当たり前か…。もうあれから、16年…」

 タバコを吸い終えて灰皿で煙草をもみ消した美咲は、シャワーの音がするバスルームを横目で見た。

「彼女くらいいるんじゃないの? いや、もしかしたら奥さんがいるかも。こんなことして、いいのかしら? 」

 フッと口元で笑いを浮かべた美咲だが、瞳の奥はどこか罪悪感を感じているような目をしていた。

「おまたせ」

 もう一本タバコを吸おうとして美咲が手を止めて、声をかけてきた幸太を見た。

 バスローブ姿になった幸太は見かけよりがっちりとした体つきで、どこかで鍛えているような逞しい姿だった。

気弱そうな表情とは別で、濡れた髪が艶っぽくて見惚れてしまいそうになる。

美咲の隣に座った幸太は、そっと手を重ねた。

「お詫びって言っていたけど。ぶつかったのは僕も悪いから、お詫びなんて思わなくていいよ」

「そう…。じゃあ、ワンナイトって事でいいのかしら? 」
 

 軽く首をかしげて怪しい目つきで幸太を見つめてきた美咲。

「ワンナイトか…。それを決めるのは、今じゃなくていいんじゃない? 」
 

 ひょいと美咲を抱きかかえてそのままベッドに運んだ幸太。

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