『身体の関係を持ちたいです』~タイプな彼からのメッセージ~
嘘みたい…超タイプな男性、リョウさんとアプリでマッチング。『ひかりさんと身体の関係を持ちたいです』ストレートなメッセージに好感を持って会うことにした私。歩きながら、「僕たち今からセックスするんですよ?」っていったり、コートのポケットに私の手を入れて、硬くなってる下半身を触れさせたり。止めてほしいのに身体は反応しちゃう。
登録していた出会い系アプリでマッチングしたリョウさん。
「わ!」
思わず声が出るほどタイプ。
こんな想いが詰まった『いいね!』男性に送ったことない…。
私は、リョウさんの写真をいいねの方へスワイプした。
数分後、
『リョウさんから新しいメッセージが届いています!』
と、スマホに表示された。
何度も何度も深呼吸して、メッセージをタップした。
『はじめまして。正直にいいます。ひかりさんと身体の関係を持ちたいです。不快に思われたらブロックして下さい』
呆気にとられるほど、ストレートな文章に、より一層、好感が増した。
『初めまして。リョウさんが書いていた関係…興味があります』
メッセージをすぐ送った。
1分、2分…。
気分転換にシャワーを浴びたり、ストレッチをしたけど、私の全細胞はスマホに集中している。
「あぁ、返事ムリかぁ…」
日付が変わる頃、私はアプリ退会の手続きをしていた。
だってもう、リョウさんみたいな人には会えないもん。
『本当に退会しますか? はい いいえ』
『はい』に目線を移した瞬間、スマホが震えてリョウさんからメッセージが届いた。
『遅くなってすみません。ひかりさんの連絡先と都合のいい日教えて下さい。寝れなくなるんで、おやすみなさい』
次の日の夜、私は連絡先を教え、すぐリョウさんから連絡が来て、少しだけ話した。
それが昨日。今、私はカフェでリョウさんを待っている。
肩が凝るほど緊張し、マキシスカートの中の両脚はガタガタ震えている。
私は、テーブルに置いたスマホの中のリョウさんに見惚れて、新作のコーヒーに手をつけられないでいる。
(え、待って。本当に本人の写真?他の人は何度も確認したのに…)
自分に呆れながら、ネットから拾ってきた写真か調べようとスマホを取った。
『ロングスカートですよね?』
リョウさんからのメッセージを見て心臓が跳ね、床に物を落とすフリをして椅子を下りて、見えないようにしゃがみ込んだ。
少しの間だけでも、心を落ち着かせたかった。
目の前に現れた、きれいに手入れされている大きな革靴を見た。
「ひかりさん?」
通話のときより、胸に響く声。
私の名前を呼んでくれているのに、顔を上げられない。
「ひかりさん?…ですよね?」
そういって肩をポンポンと叩かれても、私は返事すらできず、顔を上げられない。
「人違いでしたらすいません。具合悪いんですか?」
本当に写真の男性か確かめなきゃ、そう思って顔を上げた。
「嫌だったら帰っ…カッコいい…」
心の声が口から出るほど、私のタイプの男性が動いている。
リョウさんは、くしゃくしゃした顔で笑っている。
「あの、リ、リョウさんが、いやーないわって思ったら、か、帰って下さい」
「な、何ですか?」
「タクシー代出しますんで」
リョウさんは、声を殺して笑っている。
「俺、ひかりさんと一緒に帰ります」
紅い顔をした私の顔を見ながら、リョウさんはそういった。
全部いいんですけど、7年目のは、切なすぎ泣けて来ちゃいました
鈴木 さん 2022年7月19日