私を目覚めさせてくれたのは、オンラインサロンの女性チーフでした
異性とのセックスで絶頂を迎えられない。そんな悩みを抱えた笹河千奈美は、参加するオンラインサロンのチーフメンバーである望月るり子に相談を持ち掛けていた。そしてセックスの指南を受けるべくるり子と顔を合わせた千奈美は、るり子の優しさとテクニックで骨抜きにされてしまい…
「こうしてお会いするのは初めてですね」
「本日は宜しくお願い致します」
休日の昼下がり。チェーンのコーヒーショップにて、私はとある人物と顔を合わせていた。
「改めまして、望月るり子です」
「笹河千奈美です」
モード系ファッション誌のモデルも務まりそうな美女──望月るり子さんは、私が所属するオンラインサロンのチーフメンバーの一人。年頃は30代後半から40過ぎくらい。少しキツめの『デキる女』という出で立ちに反して物腰は柔らかで、私の憧れの女性だった。
「今日の相談は、DMでいただいた内容でよろしかったかしら? 他に何か追加で、というのはあります?」
オンラインサロンは月額料金を支払って参加する、ネット上のコミュニティ。私は、性教育を主軸とした女性限定のサロンに加入していた。その活動は多岐に渡り、単なる知識や教育的啓蒙だけでなく、女性としてのライフプランや健康相談等も行われている。
「いえ…大丈夫、です。すいません、こんな変なこと相談にのっていただいて…」
「千奈美さん、全然変なことじゃないわ。とっても、大事なことよ」
私が相談したい内容──それは『セックスが気持ちよくない』ということだった。これまで数人の男性との経験があるが、誰と致してもセックスで絶頂を迎えることができない。自慰ではそんなことはないため、不感症ではないのだと思う。最近付き合い始めた彼ともそろそろ次のステップ、となったところで不安が出てきたため、思い切ってサロンメンバーに相談することにした次第である。
「じゃぁまず、お茶でも飲んでリラックスして…千奈美さんのこと、教えていただきたいな。好きなものとか、お仕事のこととか…少しお喋りして、仲良くしましょう」
以前にるり子さんがサロン内で企画発表していた講演を見て、この人になら打ち明けてもいいと思った私。実際に彼女に会って、その判断は間違いではなかったと早くも感じている。耳障りの良い声音と魅力的な微笑み、それからつい目で追ってしまう仕草。
「はい、ありがとうございます」
このカフェでするべきことは私自身の緊張を解き、るり子さんとの心の距離を縮めること。だって私はこれから、彼女にセックスの指南を受けるのだから…。
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「素敵な下着ね。とてもよく似合ってる」
繁華街から外れた、路地裏のラブホテル。その入口は小さく、単なる雑居ビルかビジネスホテルと見間違うほどシンプルで簡素だった。女性二人で入っても目立たない、それは非常にありがたかった。
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