ねえ、おきてよ。
夜遅く帰ると、彼女はもうすでに眠りについていた。しばらく彼女の寝顔を見守っていたおれだが、寝ている彼女の横でこっそり自分を慰めだす。しかし、彼女が色っぽすぎて自慰だけでは止まらなくなってしまう。
都心のお洒落なマンションの前、部屋の明かりは消えている。
そりゃそうだ、とおれは鞄から鍵を探した。
時刻はとっくに24時を回っている。起きている方がどうかしているんだ。
おれは音を立てないように、ドアノブを回し、忍び足で廊下を歩んだ。
足元の常夜灯を頼りに部屋の電気を付ける。
急に明るくなったことにより、おれは一瞬目が眩んだ。
光に目を慣らしながら、おそるおそる瞼を開ける。まだチカチカと瞬く視界の中、テーブルの上のケーキが鮮やかに目に飛び込んだ。横にメモが置いてある。
“誕生日おめでとう!”
はっと、壁に掛かるカレンダーに視線を移す。今日の日におっきく花丸がしてあった。
……今日おれ誕生日だった。
メモを大事に握り締めたまま、彼女の眠る寝室を覗く。
枕元まで近寄り、ベッドランプを一番暗く付け、寝顔を覗き込む。
頭がそっぽを向いているから寝顔は見えない。
「ごめん」
暗がりにひとりごち、二千花のまるいほっぺにキスをした。
「……ぅぅん」
すると二千花が豪快に寝返りをうち、赤ん坊がむずがるように小さく唸った。
「は…っほんとに寝相悪いな、こいつ……」
掛け布団を蹴飛ばして、脚を投げ出している。
いつまで経っても変わらないところに、思わず口元も綻んでしまう。
かけ直してやろうかと布団に手を伸ばした、のは間違いだった。
寝返りをうったことでネグリジェの裾が乱れ、太ももが無防備に露わになる。
もちもちと柔らかそうな太ももが、めくり上がったペールピンクのスカートの下からおれを誘惑してくる。
……見えそう。
邪な考えに脳が支配される。
おれは生唾を飲み込み、縫い付けられたように二千花の太ももを凝視していた。
年甲斐もなく気がそそられ、恥ずかしながら息子は元気になってくる。
言い訳を許してほしい。二千花は世界で一番可愛い女性だから、こんな煽情的な格好されて勃たない男が果たしていないと言えるだろうか。否、いない。
面白いです
若干コントっぽいところが面白くて好きです。それでいてエロ可愛いくてすごい良いです。
りん さん 2020年12月24日