今日はセフレ卒業記念日 (Page 2)
私はシャワーを浴びた後、何も着ない。
どうせ身体だけの付き合いだと思って、それをずっと続けてきて、先輩もそうだった。
なのに、今日の先輩は珍しく服を着ている。
「小池ちゃん、服着なよ」
「え、シないんですか?」
「スるよ。でもその前に、ちょっと話したくてさ」
そう言われたけど、どうせスるならと思い、上だけ先輩のシャツを着させてもらった。
ベッドの上に座って待っていると、その隣に先輩がやってきて、ちょっとだけ座る位置が沈み込む。
「どうしたんですか。今日の先輩、なんか変、というか……いつもと違う」
「まあね。オレ、緊張してるんだよ」
そっと私の頬を撫でるその手に誘われるように、先輩の顔を見た。
いつもキスから始まるセックスの時と同じように、先輩の目は優しい。
今日の目は、とびきり優しい気がした。
「な、なんですか」
先輩は元々顔がいいから、とてもドキドキしてしまう。
あんまり見つめられると困る。
「小池ちゃんはさ、オレのことどう思ってる?」
先輩から目を逸らすのと同時に投げかけられた質問。
先輩を、どう思っているか?
「……正直なところ、なんとも」
本当に正直に答えてしまった。
先輩の反応が怖くて、先輩の方が見れない。
「ぷ……はははははは!」
先輩が勢いよく笑い出したので、そちらを見る。
目に涙を浮かべながら、先輩は笑っていた。
「いやー、面倒見のいい先輩くらいかなーと思ってたけど、全然脈なかったか~!」
ひー、ひーと目の涙を拭いながら先輩は言う。
「オレ、人生で初めてだよ、振られたの」
私の肩に腕を回しながら先輩は続ける。
え、私、今先輩を振ったの?
全然どういうことかわからなくて何も言えずにいると、そのまま肩をぐいっと後ろに引っ張られ、先輩と一緒にベッドへ倒れ込む。
先輩の方を見ると、やっぱり優しい顔をしていた。
まじでめちゃくちゃ最高です…へらへらした男がへらへらしたまま本気になっちゃう感じ、めちゃくちゃいい沼でした。助かります…
いかそめ さん 2020年9月28日