キッズ・キャンプにボランティアで参加したらカオスだった件
しぶしぶ参加したキッズ・キャンプのボランティア。大忙しの充実したイベントだったけど、子どもたちが寝た後に、スタッフの大人たちが大豹変!ついでに私もやりたい放題!清純無垢な子どもたちの公園がこんなカオスな世界になるなんて!?
「キッズ・キャンプのボランティア?」
「ごめんね。急に仕事が入っちゃって…。奈津美、私の代わりにお願い!」
奈津美にとって、久しぶりの実家への帰省であったが、姉の強引な頼みでキッズ・キャンプにボランティアとして同行することになってしまった。
姉の一人息子は小学5年生で、キャンプを楽しみにしている。
しかし、スタッフである大人の人数が足りず、姉が抜けると中止になってしまうのだった。
かわいい甥っ子をがっかりさせたくない思いもあり、奈津美はしぶしぶ引き受けることにした。
キャンプといっても、徒歩でも行ける地区内の児童公園にテントを張って一泊するという、まさに子ども騙しの企画である。
当日は晴天で、甥を連れて児童公園に行くと、すでに5~6人の大人たちが動き回っている。
先着していた子どもたちにも手伝わせながら昼のバーベキューの準備が進んでいた。
よく見ると大人の中には見知った顔があった。
近所の電器屋のおじさんに美容院のおばさん、それに小中学校時代の同級生の陽介だ。
「奈津美ちゃん、久しぶりだね!お姉さんの代わりに来たんだね」
「陽介くん!たくましくなったね」
「成人式以来だから15年ぶりくらいだね。今日は奈津美ちゃんの子どもも来てるの?」
「ううん、私はまだ独り身だし、子どもはいないわ。甥っ子を連れてきたけどね」
「そっか~。僕も姪っ子に付き合わされて来たんだよ。今日は大人が少ないから結構忙しいかもしれないよ」
積もる話をする暇もなく、子どもたちに教えながら、火を起こして肉を焼く。
食べ終えたら後片付けして、午後の課題のご近所探検に同行。
夜は夜で子どもたちを監督して、飯ごうでご飯を炊き、カレーを作った。
合間にテント張りを手伝って、キャンプファイヤーの準備をして…。
とにかく大忙しのボランティアだった。
くたくたになりながらも最後は花火で締めて、やっと就寝時間。
子どもたちは興奮して明かりの消えたテントの中でしばらくは騒いでいたが、夜10時前には静かになり、見廻りをすると一様に寝息がしていた。
大人だけで缶ビールのささやかな酒宴が始まった。
「お疲れ様。奈津美ちゃんが来てくれて助かったよ。ありがとう」
電器屋のおじさんがねぎらってくれた。
「もっとのんびりしてるのかと思ってましたが、大忙しでしたね」
奈津美もひと息ついてビールに口を付けた。
「大人の手伝いがもっといればいいんだけど、なかなか集まらなくてね。それでも今日は大きなトラブルもなかったし、盛り上がってよかったよ」
おじさんは満足そうだ。
「私も、子どもたちの喜ぶ顔が見たくて、なんとか時間をやりくりして手伝いに来てるのよ。大変だけど楽しかったわ」
美容院のおばさんも上機嫌だった。
お楽しみも束の間、明日も早朝のラジオ体操からスケジュールが詰まっているため、お酒タイムも1時間程度でお開きとなった。
えろえろ
オトナってえろい!!
紫式部 さん 2020年3月11日