バラ園の秘めごと-美しき人妻と純情BOY- (Page 2)

「あなた一体、どこからやって来たの?」

胸の高鳴りを悟られぬよう、極めて冷静に艶子は質問した。

30歳にもなって、自分よりずっと若い青年相手にトキめいてるなんて知られたら恥ずかしいと思ったのである。

青年はドギマギした様子で口を開く。

「す、すみません!郷津様のお宅にお花のお届けに来たのですが、帰る途中で迷ってしまって…」

青年の言うとこも無理はない。それだけ郷津家は広い屋敷なのだ。

だが、ここですぐに青年を帰すのも惜しい気がして、艶子は青年をお茶に誘った。

「ここに来たのも何かの縁だから、お茶でもいかが?帰り道はまた案内するから」

暑い日差しの中、何だかんだ青年も喉が渇いていたのだろう。

「はい!頂きます!」と元気よく挨拶し、そのまま椅子に腰かけた。

ローズティーを飲みながら2人で話をすると、彼の名前は新と言うらしい。

ちなみに年齢は23歳と艶子より7歳年下である。

今は花屋に勤務しており、本日、先輩に代わり、初めて郷津家に生花を運んできたとのことだった。

そのへんのことは全てメイドに任せているので知らなかったが、まさかこんなイケメンが家に出入りするようになるとは、艶子もビックリである。

花屋勤務ということもあり、新にもこのバラ園の素晴らしさが分かるらしい。

何度も新は「よく手入れされていて、とっても綺麗ですね!」と言っていた。

褒められるのは嬉しいが、艶子はどこか複雑な気持ちで口を開く。

「そうね…。綺麗なのは間違いないけど、そう言ってくれる人はあなた位で、夫も興味を示さないのよ。まるで放っておかれてる私と一緒ね」

そう言った途端、思わず艶子はハッとした。

”嫌だわ。私、何を言っているの?新君だって、変なことを言われて困っちゃうじゃないの”

しかし次の瞬間、急に新の手が伸び、艶子の手に重ねられた。

新の思いがけぬ行動に戸惑う艶子だったが、新が澄んだ瞳でこちらをジっと覗き込んできた為、思わずドキリとさせられてしまう。

切なげな色を瞳に浮かべたまま、新はこう言った。

「艶子さん。寂しいんですか…?旦那様は酷い人だ。こんなに綺麗な人を悲しませて…」

「あ、新くん…?」

「僕だったら絶対、そんなことしないのに」

新はそう言って、艶子のことを抱きしめたかと思うと、そのまま彼女の唇を奪うのであった。

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